「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (227 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
ビオチンは糖新生、脂肪酸合成に関わる補酵素である。したがって、空腹時に血糖値が下がったと
きと、逆に食後でグルコースやアミノ酸が余剰となった時に必要量が高まる。
3-1-2 目安量の策定方法
・成人(目安量)
1 日当たりのビオチン摂取量は、トータルダイエット法による調査では、アメリカ人で 35.5 µg/日
127)
、日本人で 45.1 µg/日 128)や 60.7 µg/日 129)などの報告がある。なお、日本食品標準成分表 2010 にビ
オチン含量が初めて掲載され、この成分表を用いて計算された値として、約 30 µg/日 130)と約 50.8 µg/
日 131)が報告されている。日本食品標準成分表(七訂)1)及び日本食品標準成分表(八訂)2)に掲載さ
れた食品の多くでは、ビオチンの成分値が測定されていない。そのため、今回の算定にも、従来のト
ータルダイエット法による値を採用し、成人(18~64 歳)の目安量を 50 µg/日とした。
・高齢者(目安量)
高齢者に関する十分な報告がないため、成人(18~64 歳)と同じ値とした。
・乳児(目安量)
0~5 か月の乳児の目安量は、母乳中のビオチン濃度(5 µg/L)8,9,132,133)に基準哺乳量(0.78 L/日)10,11)
を乗じると 3.9 µg/日となるため、丸め処理を行って 4 µg/日とした。
6~11 か月児の目安量は、2 つの方法による外挿値の平均値とした。具体的には、0~5 か月児の目
安量及び 18~29 歳の目安量それぞれから 6~11 か月児の目安量算定の基準となる値を算出した。次
に、男女ごとに求めた値を平均し、男女同一の値とした後、丸め処理を行って 10 µg/日を男女共通の
目安量とした。なお、外挿はそれぞれ以下の方法で行った。
・0~5 か月児の目安量からの外挿
(0~5 か月児の目安量)×(6~11 か月児の参照体重/0~5 か月児の参照体重)0.75
・18~29 歳の目安量からの外挿
(18~29 歳の目安量)×(6~11 か月児の参照体重/18~29 歳の参照体重)0.75×
(1+成長因子)
・小児(目安量)
小児については、成人(18~29 歳)の目安量の 50 µg/日を基に、体重比の 0.75 乗を用いて推定し
た体表面積比と、成長因子を考慮した次式、「(対象年齢区分の参照体重/18~29 歳の参照体重)0.75
×(1+成長因子)」を用いて計算した。必要量に性差があるという報告が見られないため、男女共通
の目安量とした。男女間で計算値に差異が認められた場合は、低い値を採用した。
・妊婦(目安量)
妊娠後期に尿中のビオチン排泄量及び血清ビオチン量の低下やビオチン酵素が関わる有機酸の増
加が報告されていることから 134)、妊娠はビオチンの要求量を増大させるものと考えられる。しか
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