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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (449 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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以上より、水溶性食物繊維を含む食物繊維摂取は、2 型糖尿病の血糖コントロールを改善させる可
能性があり、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン 2024」22)でも、糖尿病患者の積極的な食物
繊維摂取は有用であるとされている。摂取すべき食物繊維の量に関しては、30 g/日以上の食物繊維の
摂取により血糖コントロールの改善がもたらされたと報告されていることから、本来は、この程度の
量の食物繊維摂取が求められる。しかし、多くの試験が欧米人を対象としたものであることや、令和
元年国民健康・栄養調査 101)における、1 日当たりの食物繊維摂取量の平均値が 17~19 g(水溶性:3
~4 g、不溶性:11~12 g)であるという現状を踏まえると、少なくとも 20〜25 g/日の食物繊維摂取が
現実的な目標と考えられる。

2-7 アルコール
アルコールは、そのエネルギーのみならず中間代謝産物が他の栄養素の代謝に影響を及ぼすことか
ら、糖尿病管理における摂取量の適正化は重要な課題である。海外の複数のメタ・アナリシスより、
概ね 10〜25 g 程度の中等量のアルコール摂取は、糖尿病の発症率 102–108)、細小血管合併症や心血管イ
ベントの発症率、死亡率を低下させるが 109–112)、50~60 g を超えるアルコール摂取は糖尿病の発症リ
スクを増加させると報告されている 105–107)。このように、主に国外の報告では、アルコール摂取量と
糖尿病及び関連病態のリスクに関して、J字型の関係があるとされている 104,105,107,108,113)。しかし、そ
の有効性は女性や BMI の高い者に限定されるという報告や 105,108)、アジア人には認めらないという報
告がある 106)。さらに、日本人を含むアジア人、特に BMI の低い男性では、中程度からでもアルコー
ル摂取が糖尿病の発症リスクになると報告されており 104)、欧米人を対象とした結果をそのまま日本
人に当てはめることには留意が必要である。
このような背景から、日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド 2022-2023」2)では、アルコール摂取の
上限として 25 g/日を設けている。また、アルコールの急性効果として低血糖を来すことにも留意すべ
きである。適正な飲酒量の決定には、アルコール量のみならず、アルコール飲料に含有された他の栄
養素からのエネルギーや患者の飲酒習慣も考慮した個別化が求められる。

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