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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (335 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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品が相当数存在すること、あるいは加工や調理においてステンレス製品などからのクロムの混入など
が考えられる。しかし、栄養素の摂取量推定や献立の作成において日本食品標準成分表が活用されて
いることを考慮すると、日本食品標準成分表(八訂)を用いたクロム摂取量(約 10 µg/日)142)を優先
するのが現実的である。以上より、成人及び高齢者の目安量を男女とも 10 µg/日とした。
・小児(目安量)
摂取量に関する十分な報告がないため、目安量は設定しなかった。
・乳児(目安量)
日本人の母乳中クロム濃度に関して、対象者 79 人中、1µg/L 未満が 48%、1~2µg/L が 25%、5 µg/L
を超えるのは 8%にすぎず、中央値は 1.00 µg/L であったとする報告がある 222)。この研究の測定結果
は、WHO と国際原子力機関(IAEA)が実施した世界各国の母乳中クロム濃度の測定結果 223)の範囲
内であり、信頼性は高いと判断できる。1.00 µg/L を日本人の母乳中クロム濃度の代表値とし、基準哺
乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じると 0.78 µg/日となる。この値を丸めた 0.8 µg/日を 0~5 か月児の目安量と
した。6~11 か月児に関しては、0~5 か月児の目安量を体重比の 0.75 乗を用いて外挿し、男女の値を
平均して得られる 1.0 µg/日を目安量とした。
・妊婦・授乳婦(目安量)
十分な報告がないため、非妊娠・非授乳中女性の目安量を適用することとした。

3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 6 価クロム
6 価クロムを過剰に摂取すると、腎臓、脾臓、肝臓、肺、骨に蓄積し毒性を発する 224)。しかし、6
価クロムは人為的に産出されるものであり、自然界にはほとんど存在しない。したがって、耐容上限
量の設定に当たって 6 価クロムの毒性は考慮の対象にしなかった。
3-2-2 耐容上限量の策定方法
・成人・高齢者(耐容上限量)
通常の食品からクロムの過剰摂取が生じることは考えられないが、クロムサプリメントの不適切な
使用が過剰摂取を招く可能性がある。肥満でなく(BMI が 27 未満)、血糖値が正常な 20~50 歳の男
女に 1,000 µg/日の 3 価クロム(ピコリン酸クロム)を 16 週間にわたって投与した研究では、クロム
投与がインスリンの感受性を高めることはなく、クロム投与者では血清クロム濃度とインスリン感受
性との間に逆相関が認められている 225)。このことは、クロム吸収量の増加がインスリン感受性を低
下させることを示唆しており、1,000 µg/日の 3 価クロム摂取が健康障害を起こす可能性は否定できな
い。以上より、1,000 µg/日を成人における 3 価クロムの最低健康障害発現量と考え、不確実性因子を 2
として、成人のクロム摂取の耐容上限量を一律に 500 µg/日とした。
・小児・乳児(耐容上限量)
十分な報告がないため、小児及び乳児の耐容上限量は設定しなかった。

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