「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (161 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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適用を踏まえ、アメリカ・カナダの食事摂取基準 5)に倣って 1/6 とした。
β-カロテンからレチノールヘの変換効率は、従来どおり 50%、すなわち 1/2 と見積もると、食品由
来のβ-カロテンのビタミンAとしての生体利用率は、1/12(=1/6×1/2)となる。したがって、食品
由来β-カロテン 12 µg はレチノール 1 µg に相当する量(レチノール活性当量:RAE)であるとして
換算することとした。
そこで、全ての食品中のビタミンA含量はレチノール活性当量として下式で求められる。
レチノール活性当量(µgRAE)=レチノール(µg)+β-カロテン(µg)×1/12
+α-カロテン(µg)×1/24
+β-クリプトキサンチン(µg)×1/24
+その他のプロビタミンAカロテノイド(µg)×1/24
なお、サプリメントとして摂取する油溶化β-カロテンは、ビタミンAとしての生体利用率が 1/2 程
度なので、従来どおり 2 µg のβ-カロテンで 1 µg のレチノールに相当し、食品由来のβ-カロテンと
は扱いが異なる。
2 指標設定の基本的な考え方
ビタミンAは肝臓に大量に貯蔵され、成人においては貯蔵量が 20 µg/g 以上に維持されている限り、
免疫機能の低下や夜盲症のような比較的軽微なビタミンA欠乏症状にも陥ることはない 6,7)。そこで
これを維持するビタミンAの最低必要摂取量を推定平均必要量とした。
過剰症については、成人においてはレチノールの過剰摂取による肝臓障害を対象に耐容上限量を設
定した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
乳幼児ではビタミンA欠乏により、角膜乾燥症から失明に至ることもある。成人では夜盲症を発症
する。その他、成長阻害、骨及び神経系の発達抑制も見られ、上皮細胞の分化・増殖の障害、皮膚の
乾燥・肥厚・角質化、免疫能の低下 8)や粘膜上皮の乾燥などから感染症にかかりやすくなる 9)。生体
指標としては、肝臓のビタミンA貯蔵量及び血漿レチノール濃度がある。肝臓のビタミンA貯蔵量
が 20 µg/g 以下に低下するまで血漿レチノール濃度の低下は見られず鋭敏性に欠けるため 6)、血漿レ
チノール濃度はビタミンA体内貯蔵量の評価指標としては不適切である。現在のところ、肝臓のビタ
ミンA貯蔵量がビタミンAの体内貯蔵量の最も良い指標となる。
3-1-2 推定平均必要量、推奨量の策定方法
推定平均必要量は次のように算出することができる 10)。安定同位元素で標識したレチノイドを用い
てコンパートメント解析(注:体内の化合物の動態を調べるときに、例えば体内を「血液」、
「肝臓」、
「その他」の 3 つ程度のコンパートメントに分け、その動きをモデル化し、「血液」中の化合物を放
射性標識や安定同位体標識により追跡することにより、コンパートメント内の化合物の濃度や流入・
流出速度を推定・算出するような解析方法をいう)によりビタミンAの不可逆的な体外排泄処理率を
算出すると、ビタミンA摂取量・体内貯蔵量の比較的高いと考えられるアメリカの成人で 14.7 µmol/
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