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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (303 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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月経のある女児
10 歳以上の女児で月経がある場合には、月経血による鉄損失を考慮し、
推定平均必要量=〔基本的鉄損失(表1)+ヘモグロビン中の鉄蓄積量(表2)+非貯蔵性組
織鉄の増加量(表2)+貯蔵鉄の増加量(表2)+月経による鉄損失(0.52
mg/日)(表3)〕÷吸収率(0.18)
とした。推奨量は、基本的鉄損失と成長に伴う鉄蓄積については個人間の変動係数を 10%と見積もり、
月経による鉄損失は、血液損失量の平均値+標準偏差×2 に相当する 60.2 mL/回に伴う 0.95 mg/日(表
3)を用い、
推奨量=〔(基本的鉄損失(表1)+成長に伴う鉄蓄積(表2))×1.2+月経による血液損
失 60.2 mL に伴う鉄損失(0.95 mg/日)〕÷吸収率(0.18)
とした。
・乳児(0~5 か月)(目安量)
日本人女性の母乳中鉄濃度の代表値を推定できる信頼性の高い論文は見当たらない。しかし、アメ
リカ・カナダの食事摂取基準が採用している母乳中鉄濃度の値(0.35 mg/L)4)は、貧血有病率が 30%
を超えるベトナム人女性 59 名の母乳中鉄濃度(平均値±標準偏差)0.43 ± 0.15 mg/L22)と大差がない。
すなわち、母乳中鉄濃度は母親の鉄栄養状態や分娩後日数に関わらずほぼ一定とみなすことができる。
以上より、複数の論文に基づいているアメリカ・カナダの食事摂取基準の採用値(0.35 mg/L)に基準
哺乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じて得られる 0.273 mg/日を丸めた 0.5 mg/日を、0~5 か月児の目安量とし
た。
・乳児(6~11 か月)(推定平均必要量、推奨量)
鉄欠乏性貧血は、乳児期の後期(離乳期)に好発する 23)。このことから、6~11 か月児の目安量を 0
~5 か月児の目安量から外挿によって算定した場合、貧血の予防には不十分な値になる危険性が高
い。6~11 か月については、表1及び表2に示すように、基本的鉄損失と成長に伴う鉄蓄積を 1 歳以
上と同様に見積もることが可能であり、鉄の推定平均必要量と推奨量を算定できると判断した。そこ
で、6~11 か月については、小児(月経による鉄損失がない場合)と同様に、
推定平均必要量=〔基本的鉄損失(表1)+ヘモグロビン中の鉄蓄積量(表2)+非貯蔵性組
織鉄の増加量(表2)+貯蔵鉄の増加量(表2)〕÷吸収率(0.16)
の式で推定平均必要量を算定した。
推奨量は、個人間の変動係数を 20%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.4 を乗じた値
とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊娠期に必要な鉄には、基本的鉄損失に加え、①胎児の成長に伴う鉄貯蔵、②臍帯・胎盤中への鉄
貯蔵、③循環血液量の増加に伴う赤血球量の増加による鉄需要の増加があり、それぞれ妊娠の初期、
中期、後期によって異なる。
胎児の成長に伴う鉄貯蔵と臍帯・胎盤中への鉄貯蔵は、表4の報告値 24)を採用した。循環血液量増
加による鉄需要の増加は、18~29 歳と 30~49 歳女性の参照体重の年齢区分別人口比による重み付け
平均値(52.6 kg)、体重当たり血液量(0.075 L/kg)9)、妊娠中の血液増加量(30~50%)、妊娠女性

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