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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (311 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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これまでの食事摂取基準では、推定平均必要量と推奨量は整数値で示していたが、尿中排泄量に関
して日本人の数値を採用したことにより精度が向上したと判断し、要因加算法で値を算定している鉄
と同様に 0.5 mg きざみとした。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
小児の推定平均必要量設定に有用なデータは見当たらない。しかし、18~29 歳の推定平均必要量の
算出に用いた総排泄量の算定式には、精液と月経分泌物に由来する亜鉛損失量が含まれるため、1~9
歳の推定平均必要量を成人と同様の方法で求めることはできない。そこで、上記の算定式における総
排泄量から精液又は月経分泌物損失量を除き、1~9 歳の総排泄量として、真の吸収量となる値、すな
わち出納がゼロとなる値を求めると、男性 3.110 mg/日、女性 2.768 mg/日となる。これらの値を、回
帰式「真の吸収量=1.113×摂取量 0.5462」の真の吸収量に代入して得られる男性 6.560 mg/日、女性 5.303
mg/日を 1~9 歳の推定平均必要量を求めるための参照値と考えた。1~9 歳の推定平均必要量は、18
〜29 歳との体重比の 0.75 乗と成長因子を用いてこの参照値から外挿した。推奨量は、個人間の変動
係数を 20%と見積もり、推定平均必要量に 1.4 を乗じた値とした。
精通又は月経の開始年齢には個人差があるが、亜鉛不足のリスクを避ける観点から、10 歳以上の小
児に関しては精通又は月経があるものと判断し、10~17 歳の小児の推定平均必要量は、体重比の 0.75
乗と成長因子を用いて 18~29 歳の推定平均必要量(男性 7.490 mg/日、女性 6.156 mg/日)から外挿し
た。
10~11 歳の推奨量は、変動係数を 20%と見積もり、推定平均必要量に 1.4 を乗じた値とした。12
〜17 歳の男性の推奨量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2
を乗じた値とした。12〜17 歳の女性の推奨量は、成人女性と同様に個人間の変動係数を 12.5%と見積
もって、推定平均必要量に 1.25 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の血清亜鉛濃度は、初期 72.7 µg/dL、中期 63.8 µg/dL、後期 62.1 µg/dL、出産時 63.3 µg/dL とい
う報告があり、妊娠中期以降に低下するとしている 75)。また、母体に亜鉛を蓄積することは、分娩後
の母乳中亜鉛濃度を維持するのに必要である。このため、妊娠に伴う付加量が中期以降に必要と判断
される。妊娠に伴う亜鉛の必要量である 100 mg76)を妊娠中期以降に補うとすると、吸収量として 0.536
(100÷(280×2/3))mg/日が必要となる。この値を平均的な亜鉛の吸収率(30%)77)で除して得られ
る 1.787 mg/日を丸めた 2.0 mg/日を妊娠中期以降の妊婦における推定平均必要量の付加量とした。推
奨量の付加量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に 1.2 を乗じて得られる 2.144
mg/日を丸めた 2.0 mg/日とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
母乳中の亜鉛濃度は分娩後、日数とともに対数関数的に低下する 78)。日本人の母乳中の亜鉛濃度に
関しても、分娩後 6~20 日が 3.60 mg/L、21~89 日が 1.77 mg/L、90~180 日が 0.67 mg/L とする報告
や 79)、分娩 1 週間後が 4.56 mg/L、1 か月後が 2.66 mg/L、3 か月後が 1.14 mg/L、5 か月後が 1.05 mg/L
という報告 80)、分娩後 8~14 日が 3.94 mg/L、15~84 日が 1.76 mg/L、85~120 日が 0.76 mg/L という
報告がある 81)。これらの数値に基づくと、日本人の母乳中亜鉛濃度(Y)と分娩後日数(X)との間に
は Y=-1.285 ln (X)+7.0105 という回帰式(相関係数 0.988)が成立する。この回帰式について、7

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