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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (213 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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⑤ ビタミン B12
1 基本的事項
1-1 定義と分類
ビタミンB12 活性を有する化合物を総称してビタミンB12 という。ビタミンB12 はコバルトを含有
する化合物(コバミド)であり、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、スルフィトコバラミン、
ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンがある。アデノシルコバラミン及びメチルコバラミンが補
酵素として機能する。日本食品標準成分表(七訂)1)及び日本食品標準成分表(八訂)2)に従い、食事
摂取基準の数値をシアノコバラミン相当量(図8)として示した。

H

H
O

N

H
H

H

N

H

N

O

H

H
CN

O

H

N

N

H N
H
O
O

O
O H
H
P O
H
O

N H
O

N

Co+
N
N

H
O H
H

N H
H

O

H
N
H

N
H
O
H
O
H

図8 シアノコバラミンの構造式
(C68H88CoN14O14P、分子量=1355.4)

1-2 機能
ビタミンB12 は、アデノシルコバラミン及びメチルコバラミンの形態で、それぞれメチルマロニル
CoA ムターゼ及びメチオニンシンターゼの補酵素としてスクシニル基及びメチル基の転移反応に機
能し、アミノ酸代謝に関与する。ビタミンB12 の欠乏により、巨赤芽球性貧血、脊髄及び脳の白質障
害、末梢神経障害が起こる。

1-3 消化、吸収、代謝
食品中のビタミンB12 はたんぱく質と結合しており、胃酸やペプシンの作用で遊離する。遊離した
ビタミンB12 は唾液腺由来のハプトコリンと結合し、次いで十二指腸においてハプトコリンが膵液中
のたんぱく質分解酵素によって部分的に消化される。ハプトコリンから遊離したビタミンB12 は、胃
の壁細胞から分泌された内因子と結合する。内因子-ビタミンB12 複合体は主として回腸下部の刷子
縁膜微絨毛に分布する受容体に結合した後、腸管上皮細胞に取り込まれる。
消化過程は食品ごとに異なり、同時に摂取する食品の影響も受ける。正常な胃の機能を有した健康
な成人において、食品中のビタミンB12 の吸収率はおよそ 50%とされている 60,61)。食事当たり 2 µg 程
度のビタミンB12 で内因子を介した吸収機構が飽和するため 62,63)、それ以上ビタミンB12 を摂取して
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