「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (260 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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1 基本的事項
1-1 定義と分類
カリウム(potassium)は原子番号 19、元素記号 K のアルカリ金属元素の 1 つである。
1-2 機能
カリウムは、細胞内液の主要な陽イオン(K+)であり、体液の浸透圧を決定する重要な因子である。
また、酸・塩基平衡を維持する作用がある。神経や筋肉の興奮伝導にも関与している 43)。
健康な人は、下痢、多量の発汗、利尿剤の服用の場合を除き、カリウム欠乏を起こすことはまずな
い 2)。
1-3 消化、吸収、代謝
カリウムの吸収は受動的であるが、回腸や大腸ではカリウムが能動的に消化管内に放出される。大
腸でカリウムが吸収されるのは、大腸内カリウム濃度が 25 mEq/L 以上のときである。したがって、
重度の下痢では、1 日 16 L に及ぶ腸液が失われる場合もあるので血漿カリウム濃度が激減する(低カ
リウム血症)。
2 指標設定の基本的な考え方
カリウムの推定平均必要量、推奨量を算出するための科学的根拠は乏しい。そこで、これまでと同
様にカリウムの不可避損失量を補い平衡を維持するのに必要な値を考慮した上で、現在の摂取量から
目安量を設定した。また、高血圧を中心とした生活習慣病の発症予防の観点から目標量を設定した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
カリウムは、多くの食品に含まれており、通常の食生活で不足になることはない。また、推定平均
必要量、推奨量を設定するための科学的根拠は少ない。
3-1-2 目安量の策定方法
・成人・高齢者(目安量)
成人におけるカリウム不可避損失量の推定値として、便:4.84 mg/kg 体重/日、尿:2.14 mg/kg 体重
/日、皮膚:2.34 mg/kg 体重/日(高温環境安静時 5.46 mg/kg 体重/日)、合計 9.32 mg/kg 体重/日(高温
環境安静時 12.44 mg/kg 体重/日)とする報告 1)、合計 15.64 mg/kg 体重/日とする報告 2)がある。また、
便からの喪失は約 400 mg/日、尿からの排泄は 200~400 mg/日であり、普段の汗、その他からの喪失
は無視することができ、800 mg/日の摂取で平衡が維持できるとした報告もある 1)。しかし、この報告
では、体内貯蔵量が減少し、何人かの被験者で血漿濃度が低下したため、1,600 mg/日(23 mg/kg 体重
/日)を適切な摂取量としている。また、カリウムの体内貯蔵量を正常に保ち、血漿及び組織間液の濃
度を基準範囲に維持するには、1,600 mg/日を摂取することが望ましいとする報告もある 44)。これらの
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