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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (126 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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・乳児(目安量)
母乳は、乳児にとって理想的な栄養源と考え、母乳脂質成分 29,30)と基準哺乳量(0.78 L/日)31,32)か
ら目安量を設定した。0~5 か月の乳児は母乳(又は乳児用調製乳)から栄養を得ているが、6 か月頃
の乳児は離乳食への切替えが始まる時期であり、6~11 か月の乳児は母乳(又は乳児用調製乳)と離
乳食の両方から栄養を得ている。この時期は幼児への移行期と考え、0~5 か月の乳児の目安量と 1~
2 歳児の目安量(中央値)の中間値を用いた。
0~5 か月児の目安量は、母乳中の n-3 系脂肪酸濃度(1.16 g/ L)に基準哺乳量(0.78 L/日)を乗じ
て求めた。
n-3 系脂肪酸:目安量(g/日)=1.16 g/ L×0.78 L/日=0.9 g/日
6~11 か月児の場合は、0~5 か月児の目安量と 1~2 歳児の平成 30・令和元年国民健康・栄養調査
の摂取量の中央値(男女平均)の中間値として、以下のように求めた。
n-3 系脂肪酸:目安量(g/日)=〔0.9+(0.7+0.7)/2〕/2=0.8g/日
・妊婦・授乳婦(目安量)
アラキドン酸や DHA は、神経組織の重要な構成脂質である。DHA は特に神経シナプスや網膜の光
受容体に多く存在する。妊娠中は、胎児のこれらの器官生成のため、より多くの n-3 系脂肪酸の摂取
が必要と考えられる 40)。しかし、平成 30・令和元年の国民健康・栄養調査では調査対象となった妊婦
の数が極めて限られることから、妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性における n-3
系脂肪酸摂取量の中央値を用いることとした。中央値は 1.61 g/日である。このため、前後の年齢区分
における値を参考とした平滑化を考慮し、目安量は 1.7 g/日とした。
授乳婦は、日本人の平均的な母乳脂質成分を持つ母乳を分泌することが期待される。しかし、平
成 30・令和元年の国民健康・栄養調査では調査対象となった授乳婦の数が限られていることから、妊
婦と同様に妊娠可能年齢に該当する妊娠・授乳をしていない女性における n-3 系脂肪酸摂取量の中央
値を用いることとした。この摂取量(中央値)を用いて、前後の年齢区分における値を参考とした平
滑化を考慮し、目安量を 1.7 g/日とした。
6-3-1-1 生活習慣病との関連
n-3 系脂肪酸摂取量、特に、EPA 及び DHA の摂取が冠動脈疾患の予防に有効であることを示した
観察疫学研究が多数存在し、それらのメタ・アナリシスもほぼこの考えを支持している 41)。しかしな
がら EPA、DHA、DPA を長鎖 n-3 系脂肪酸として類似の目的で行われた介入研究の結果をまとめたメ
タ・アナリシスはこの考えを支持せず、予防効果があるとは言えないとしている 42)。α-リノレン酸
と総死亡率、循環器疾患死亡率、冠動脈疾患死亡率との関連を調べたコホート研究のメタ・アナリシ
スではいずれにも負の関連を認めているが 43)、介入試験のメタ・アナリシスでは有意な関連は認めら
れなかった 42)。
コホート研究のメタ・アナリシスでは n-3 系脂肪酸摂取と認知機能低下リスク低下の有意な関連を
観察している 44)。一方で、治療効果についてまとめたメタ・アナリシスでは治療効果があるとは言え
ないと報告している 45)。
糖尿病の発症率との関連を検討したコホート研究をまとめたメタ・アナリシスでは n-3 系脂肪酸摂
取量、特に、EPA 及び DHA の摂取が糖尿病の発症を増加させる可能性を示唆しているが、アジア人
の研究のみに限ると負の関連を認めており一貫していない 46)。また、介入研究のメタ・アナリシスで

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