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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (103 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
乳児のたんぱく質必要量は、成人の値を算出した窒素出納法から算定することができない。ただし、
離乳食を始める前の健康な乳児が健康な授乳婦から摂取する母乳は、乳児が健全に発育するのに必要
なたんぱく質を質・量ともに十分に含んでいると考えられる。一方で、離乳期に入った後は、哺乳量
が減るとともに食事(離乳食)からのたんぱく質摂取量が徐々に増加してくる。そこで、乳児(2~11
か月)を更に 3 区分し、0~5 か月、6~8 か月、9~11 か月とした。
以上の考え方より、表7に示すように、
(目安量)=
〔(母乳中たんぱく質濃度)×(哺乳量)〕+(食事(離乳食)からのたんぱく質摂取量)
とした。
なお、母乳のたんぱく質利用効率と(乳児用調製乳で使われる)牛乳たんぱく質の利用効率は共に
70%程度であるとされている 2)。したがって、人工栄養で育児を行う場合でも、目安量は母乳で育児
を行う場合と同じと考え、両者の区別は設けなかった。
表7 乳児におけるたんぱく質の目安量の算出方法

(L/日)

(C)
食事(離乳食)から
のたんぱく質摂取量
(g/日)

(g/日)

0~5(月)

12.6 30–32,44)

0.78 28,29,45–48)

0

9.8

6~8(月)

10.6 45,49,50)

0.6045,49)

6.144)

12.5

9~11(月)

9.2 45,49–51)

0.45 45,49)

17.944,52)

22.0

年齢区分

(A)
母乳中
たんぱく質濃度
(g/L)

(B)
哺乳量

目安量

目安量=(A)×(B)+(C)。

3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 耐容上限量の策定方法
たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなけれ
ばならない。最も関連が深いと考えられるのは、腎機能への影響である。健康な者を対象としてたん
ぱく質摂取量を変えて腎機能への影響を検討した試験のシステマティック・レビューでは、35%エネ
ルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうと結論づけている 53)。また、20%エネルギ
ー以上(又は 1.5 g/kg 体重/日以上又は 100 g/日以上)の高たんぱく質摂取が腎機能(糸球体濾過率)
に与える影響を通常又は低たんぱく質摂取(高たんぱく質摂取群よりも 5%エネルギー以上低いもの
とする)と比べたメタ・アナリシスでは、有意な違いは観察されなかった 54)。さらに、たんぱく質摂
取量と腎疾患へのリスクに関する研究をまとめた 2023 年のアンブレラレビューでは、観察期間が短
いなどの課題が残されているものの、高たんぱく質摂取により腎疾患の発症リスクを高める、という
結論には至らなかった 55)。したがって、現時点ではたんぱく質の耐容上限量を設定し得る十分かつ明
確な根拠となる報告はないため、耐容上限量は設定しないこととした。ただし、レジスタンストレー
ニング期にある成人におけるたんぱく質の除脂肪量への効果を検証した研究のメタ・アナリシスにお
いて、たんぱく質を 1.6 g/kg 体重/日以上摂取しても除脂肪量の増大への効果は得られない可能性が高

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