「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (316 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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3-1 欠乏の回避
3-1-1 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
アメリカ人を対象にした複数の研究 99–101)を解析した総説 102)は、結果、銅の出納は摂取量 0.8 mg/日
未満で負、2.4 mg/日を超えると正になるとしている。一方、この総説では、偏りの大きい研究を除外
した場合、血漿・血清銅濃度は、摂取期間にかかわらず銅の摂取量 0.57~6.9 mg/日の範囲では一定と
している。これらより、0.8 mg/日を銅の最小必要量と判断した。解析対象となった研究が複数である
ことから、この値は、アメリカ人男性(18~30 歳)の参照体重である 76.0 kg の成人に対するものと
考えた。以上より、0.8 mg/日を参照値として、性別及び年齢区分ごとの推定平均必要量を、それぞれ
の参照体重に基づき、体重比の 0.75 乗を用いて算定した。
推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
小児の銅の推定平均必要量は、性別及び年齢区分ごとの参照体重に基づき、体重比の 0.75 乗と成長
因子を用いて、成人の値から外挿した。推奨量は、成人の場合と同様に、推定平均必要量に推奨量算
定係数 1.2 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
アメリカ・カナダの食事摂取基準では、胎児の銅保有量を 13.7 mg とみなしている 103)。また、安定
同位体を用いた研究によると、一般成人の銅の吸収率は 44~67(中間値 55)%となっている 100)。妊
娠時の銅吸収率についての報告はないが、非妊娠時と同じ 55%とみなし、13.7 mg÷280 日÷0.55 より
得られる 0.089 mg/日を丸めた 0.1 mg/日を推定平均必要量の付加量とした。推奨量の付加量は、推定
平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じて得られる 0.107 mg/日を丸めて 0.1 mg/日とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
日本人の母乳中銅濃度が分娩後の各期において測定されており 79)、分娩後 0~5 か月の母乳中銅濃
度の平均値は 0.35 mg/L と算出できる。授乳婦の推定平均必要量の付加量は、この 0.35 mg/L と 0~5
か月児の乳児の基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)及び銅の吸収率(55%)を用いて、0.35×0.78÷0.55 より得
られる 0.496 mg/日を丸めた 0.5 mg/日とした。推奨量の付加量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2
を乗じて得られる 0.596 mg/日を丸めて 0.6 mg/日とした。
3-1-2 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
0~5 か月児の目安量は、分娩後 0~5 か月の母乳中銅濃度の平均値(0.35 mg/L)79)に基準哺乳量
(0.78 L/日)5,6)を乗じて得られる値(0.273 mg/日)を丸めて 0.3 mg/日とした。6~11 か月児の目安量
は、0~5 か月児の目安量を体重比の 0.75 乗を用いて外挿し、男女の値を平均した 0.35 mg/日を丸め
て 0.4 mg/日とした。
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