「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (49 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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個人の食事改善を目的とする、食事摂取基準を活用した食事改善の計画と実施の概要を図 13 に示
す。
〔食事評価〕
〈エネルギー摂取の過不足の評価〉
BMI*又は体重変化量を用いて評価
〔食事改善の計画と実施〕
BMIが目標とする範囲に留まること、また
はその方向に体重が改善することを目的に
立案
*成人の場合
〈栄養素の摂取不足の評価〉
推定平均必要量、推奨量を用いて、栄養素
の摂取不足の可能性とその確率を推定。目
安量と同等か、それ以上かで、不足してい
ないことを確認。
不足しない十分な量を維持すること、また
はその量に近づくことを目的に立案
〈栄養素の過剰摂取の評価〉
耐容上限量を用いて、栄養素の過剰摂取の
可能性の有無を推定
耐容上限量未満にすることを目的に立案
〈生活習慣病等の予防を目的とした評価〉
目標量を用いて、生活習慣病等の予防の観
点から評価
目標量(又は範囲内)に達することを目
的に立案
図 13 食事改善(個人)を目的とする食事摂取基準を活用した食事改善の計画と実施
食事改善の計画と実施は、食事評価を行い、その結果に基づいて行うことが基本である。そのため
には、対象とする個人の特性を十分に把握しておくことが重要となる。ここでいう特性とは、性別、
年齢、身体活動レベル、その他の主要な生活環境や生活習慣を指している。また、目的に応じて臨床
症状や臨床検査のデータを利用する。
エネルギーの過不足に関する食事改善の計画立案及び実施には、BMI 又は体重変化量を用いる。
BMI が目標とする範囲内に留まることを目的として計画を立てる。体重の減少又は増加を目指す場合
は、定期的に体重を計測記録し、16 週間以上フォローを行うことが勧められる。例えば、食事制限若
しくは運動又はその両方を用いて体重減少を目的に行われた 493 の介入研究のメタ・アナリシスによ
ると、介入前の平均 BMI は 33.2 kg/m2、平均介入期間は 16 週間であり、平均 11 kg の体重減少であっ
たと報告されている 37)。
推奨量が算定されている栄養素については、推奨量を用いる。推奨量付近かそれ以上であれば現在
の摂取量を維持させ、それ未満である場合は推奨量に近づくように計画を立てる。ただし、実施可能
性や他の栄養素の摂取状態を考慮し、総合的に判断する。目安量が算定されている栄養素については、
目安量を用いる。現在の摂取量が目安量付近かそれ以上であれば、この水準を維持させる。一方、目
安量未満の場合は、不足の有無やそのリスクが判断できない。なお、大幅に下回っている場合には、
エネルギーや他の栄養素の摂取量、身体計測や臨床検査の結果等を考慮した総合的な判断により、摂
取量の改善の必要性を検討する。
耐容上限量を超えて摂取している場合は、耐容上限量未満にするための計画を立てる。耐容上限量
を超えた摂取は避けるべきであり、それを超えて摂取していることが明らかになった場合は、問題を
解決するために速やかに計画を立て、実施する。
目標量の範囲外の量を摂取している場合は、範囲内に入ることを目的とした計画を立てる。ただし、
発症予防を目的としている生活習慣病と関連する他の栄養関連因子及び非栄養性の関連因子の存在
とその程度を明らかにし、これらを総合的に考慮した上で、対象とする栄養素の摂取量の改善の程度
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