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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (168 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度が 20 ng/mL を維持できるビタミンD摂取量について、アメリ
カ・カナダの食事摂取基準では、25-ヒドロキシビタミンD濃度に対する紫外線、すなわち日光曝露の
関与の割合は算定が不可能、かつ種々の要因に影響されることから、日光曝露のほとんどない条件下
でのビタミンD摂取と血清 25-ヒドロキシビタミンD濃度の関係に基づいて、ビタミンDの推定平均
必要量を算定している 41)。しかし、我が国においては、紫外線による皮膚でのビタミンD産生は実際
にあることから、日光曝露がない条件下の摂取量を参照することは必ずしも実態にそぐわない。
一方、北欧諸国の食事摂取基準では、夏季(晩春から初秋)の屋外活動に伴うビタミンDの皮膚で
の産生が体内のビタミンD量にある程度寄与するという前提に基づいて、摂取すべき値が算定されて
いる 40)。実際に、季節による血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度の違いは明らかであり 50)、紫外線に
よる皮膚でのビタミンD産生は血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度に一定の影響力を示すことは確か
であるため、この見解には一定の妥当性があるものと考えられる。したがって、日本人の食事摂取基
準 2025 年版では一定量の日光曝露を考慮した北欧諸国の食事摂取基準 40)を参考に目安量を算定する
こととした。
しかしながら、そこで参照されている疫学研究の多くは、日本よりも高緯度の地域で行われ、また、
対象者も白色人種が多いため、それらをそのまま参照するには注意が必要である。我が国で行われた
研究もあるが、その研究数は限られており、北海道と熊本県で 20~69 歳の男女を対象として夏期と
冬期に行われた観察研究では、夏期でも約半数の者で血清 25-ヒドロキシビタミンD濃度は 20 ng/mL
を下回っていた 51)。また、8 日間の秤量食事記録法を用いた全国調査によると、成人(18 歳以上)の
ビタミンD摂取量(中央値)の単純平均は男性 7.9 µg/日、女性 7.0 µg/日であった 52)。骨軟化症の有病
率が過小評価されているため 53)、くる病有病率で比較すると、日本は諸外国に比べてその有病率は低
いものの 54)、現在の摂取量では集団の約半数の者で血清 25-ヒドロキシビタミンD濃度 20 ng/mL を維
持できず、特定の集団において不足状態を示す者がほとんど観察されない量としての目安量の概念と
合致しないと考えられる。
そこで、実現可能性も考慮して、北欧諸国の食事摂取基準 40)における推奨量(10 µg/日)と現在の
摂取量 52)の中間値を採用することとした。ただし、各年齢区分で検討する科学的根拠は乏しいため、
それぞれの年齢区分で現在の摂取量の中央値と 10 µg/日との中間値を算出した後、各年齢区分での算
出値の単純平均値を算出した。その結果、男性 8.9 µg/日、女性 8.5 µg/日となった。丸め処理をすると、
男性 9.0 µg/日、女性 8.5 µg/日となるが、ビタミンD欠乏のリスクは男性よりも女性の方が高いことか
ら 55)、男女ともに 9.0 µg/日とした。なお、これは目安量であり、推定平均必要量及び推奨量とは異な
ることに留意したうえで活用すべきである。
・高齢者(目安量)
高齢者においても、成人と同様に血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度の参照値は 20 ng/mL とした。
高齢者では、ビタミンDが不足状態にある者が多いことは日本人でも報告されている 56,57)。また、血
中 25-ヒドロキシビタミンD濃度を 20 ng/mL に維持するのに必要なビタミンD摂取量の検証として、
日光曝露の機会が非常に乏しい日本人の施設入所高齢者に対する介入試験があり、血清 25-ヒドロキ
シビタミン濃度を 20 ng/mL 以上とするためには 5 µg/日では無効で 58)、20 µg/日でも 1 か月間の介入
では 20 ng/mL を超えたのは約 40%に留まったとの報告がある 59)。諸外国の食事摂取基準では、高齢
者に対して 20 µg/日という推奨量を定めているものがあるが 41,42)、この値は日光曝露が乏しいことを
前提としたものである。したがって、これらの結果を我が国の自立した高齢者全体に適用できるか否

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