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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (330 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人(推定平均必要量、推奨量)
WHO は、中国のデータ 193)に基づいて、血漿 GPX 活性値とセレン摂取量との間に回帰式(Y=2.19X
+13.8)を作成した 189)。ここで、Y は血漿 GPX 活性値の飽和値を 100 としたときの相対値、X はセ
レン摂取量(µg/日)である。この式より、Y=66.7、すなわち活性値が飽和値の 2/3 となるときのセ
レン摂取量は、24.2 µg/日〔(66.7-13.8)/2.19〕となる。この値を参照値と考え、性別及び年齢区分
ごとの推定平均必要量を、中国の対象者の平均体重を 60 kg と推定し、体重比の 0.75 乗を用いて外挿
した。推奨量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じ
た値とした。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
小児の推定平均必要量の根拠となるデータは不十分である。そこで、小児の性別及び年齢区分ごと
の推定平均必要量は、成人の推定平均必要量の参照値(24.2 µg/日)の基になった推定体重(60 kg)
と小児の性別及び年齢区分ごとの参照体重に基づき、体重比の 0.75 乗と成長因子を用いて、24.2 µg/
日から外挿して算定した。推奨量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量
算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
セレンの栄養状態が適切であれば、体重 1 kg 当たりのセレン含有量は約 250 µg と推定されてい
る 194)。最近の我が国の出生時体重の平均値である約 3 kg の胎児を出産する妊婦の場合、胎盤(胎児
の約 6 分の 1 の重量)を合わせた約 3.5 kg に対して必要なセレンは約 900 µg となる。さらに、セレ
ンは血液中にも 170~198 µg/L(平均 184 µg/L)含まれており 195)、妊娠中に生じる血液体積の 30~50%
の増加についても考慮する必要がある。体重当たりの血液量を 0.075 L/kg9)とすると、18~29 歳と 30
~49 歳女性の参照体重の年齢区分別人口比による重み付け平均値(52.6 kg)の女性で 1.1~1.9 L の血
液増加になるので、これに血液中セレン濃度を乗じると血液増加に伴って必要となるセレンは約 300
µg となる。したがって、両者を合わせた約 1,200 µg が妊娠に伴って必要なセレン量となる。食事中
セレンの吸収率を 90%185)、妊娠期間 280 日として 1 日当たりの量(1,200/0.9/280)を算定し、得られ
た 4.76 µg/日を丸めた 5 µg/日を、妊婦における推定平均必要量の付加量とした。推奨量の付加量は、
個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値(5.71
µg/日)を丸めた 5 µg/日とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
日本人の母乳中セレン濃度に関する研究は、互いに近似した値を報告している。これらの中で、4,000
人以上を対象とした報告 79)の平均値(17 µg/L)を日本人の母乳中セレン濃度の代表値とした。この値
と基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)、食品中セレンの吸収率(90%)185)に基づき、得られた 14.7 µg/日(17
×0.78/ 0.90)を丸めた 15 µg/日を授乳婦における推定平均必要量の付加量とした。推奨量の付加量は、
個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じて得られ
る 17.7 µg/日を丸めた 20 µg/日とした。
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