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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (195 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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(2) 水溶性ビタミン
① ビタミン B1
1 基本的事項
1-1 定義と分類
ビタミンB1 活性をもつ化合物の総称をビタミンB1 という。遊離型ビタミンB1 の化学名はチアミ
ン(図1)である。チアミン二リン酸(ThDP)が補酵素として機能する。通常の食品には、ビタミン
B1 はチアミンのほかに、チアミンにリン酸が結合したチアミン一リン酸(ThMP)、ThDP、チアミン
三リン酸(ThTP)の形態でも存在する。いずれも消化管でチアミンに消化された後、体内に取り込ま
れるため、チアミンと等モルの活性を示す。
日本食品標準成分表 2015 年版(七訂)1)及び日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)2)に従い、食事
摂取基準の数値をチアミン塩化物塩酸塩(チアミン塩酸塩)(図2)相当量として示した。

H3C

N

NH2

N
CH2

H3C

S

N
+

N
N

CH3

CH2CH2OH

図1 チアミンの構造式
(C12H17N4OS、分子量=265.3)

図2

NH2・HCI
CI N
+
CH2

S

CH3

CH2CH2OH

チアミン塩化物塩酸塩の構造式

(C12H17ClN4OS-HCl、分子量=337.3)

1-2 機能
ビタミンB1 は、ThDP の形態で、脱炭酸反応、ケトール基転移反応を触媒する酵素の補酵素として
機能する。ビタミンB1 は、グルコース代謝、クエン酸回路(TCA 回路)、分枝アミノ酸代謝などに
関与し、特にグルコース代謝、エネルギー産生において重要な役割を果たす。ビタミンB1 欠乏によ
り、神経炎や脳組織への障害が生じる。ビタミンB1 欠乏症には、脚気とウェルニッケ-コルサコフ
症候群がある。

1-3 消化、吸収、代謝
生細胞中のビタミンB1 の大半は補酵素型の ThDP として存在し、酵素たんぱく質と結合した状態
で存在している。食品を調理・加工する過程及び胃酸環境下で酵素たんぱく質が変性することにより、
ほとんどの ThDP が遊離する。遊離した ThDP のほとんどは消化管内のホスファターゼによって加水
分解され、チアミンとなった後、空腸と回腸において能動輸送で吸収される。これらの過程は食品ご
とに異なり、同時に摂取する食品の影響も受ける。我が国で食されている平均的な食事中のビタミン
B1 の遊離型ビタミンB1 に対する相対生体利用率は、60%程度であると報告されている 3,4)。

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