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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (216 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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3-2-2 耐容上限量の策定
ビタミンB12 は、胃から分泌される内因子を介した吸収機構が飽和すれば食事中から過剰に摂取し
ても吸収されない 69)。また、大量(500 µg/日以上)のシアノコバラミンを経口投与した場合でも、内
因子非依存的に投与量の 1%程度が吸収されるのみである 69)。さらに、非経口的に大量(2.5 mg/日)
のシアノコバラミンを投与しても、過剰症は認められていない 85)。
このように、現時点でビタミンB12 の過剰摂取が健康障害を示す科学的根拠がないため、耐容上限
量は設定しなかった。

3-3 生活習慣病の発症予防
ビタミンB12 摂取と生活習慣病の発症予防の直接的な関連を示す報告はないため、目標量は設定し
なかった。

4 生活習慣病の重症化予防
ビタミンB12 摂取と生活習慣病の重症化予防の直接的な関連を示す報告はないため、生活習慣病の
重症化予防を目的とした量は設定しなかった。

5 活用に当たっての留意事項
食品中のビタミンB12 含有量は食品ごとに大きく異なるため、摂取量は日間変動が高い。食事 1 回
当たりの内因子を介した吸収機構の飽和量は、およそ 2.0 µg と推定されており 68)、1 日 3 回の食事か
ら 6.0 µg 程度のビタミンB12 しか吸収することができない。一度に多量のビタミンB12 を含む食品を
摂取するよりも、食事ごとに 2.0 µg 程度のビタミンB12 を含む食品を摂取する方が望ましいと考えら
れる。
高齢者では、加齢による体内ビタミンB12 貯蔵量の減少に加え、食品たんぱく質に結合したビタミ
ンB12 の吸収不良によるビタミンB12 の栄養状態の低下と神経障害の関連が報告されている 86,87)。一
方で、胃酸分泌量は低下していても内因子は十分量分泌されており、遊離型のビタミンB12 の吸収率
は低下しないことが報告されている 88)。また、ビタミンB12 やビタミンB12 を含むサプリメントを摂
取させるとビタミンB12 の栄養状態が改善されることが報告されている 89)。ただし、高齢者へのビタ
ミンB12 サプリメントがビタミンB12 の栄養状態を変えないとする報告 90)もある。ビタミンB12 のサ
プリメント等による摂取が健康の保持に有効か否かの結論に至る研究は十分ではない。

6 今後の課題
ビタミンB12 の推定平均必要量の設定に必要な科学的根拠が十分ではない。ビタミンB12 摂取量と
生化学的指標との関係について日本人を対象とした研究(観察研究及び介入研究)を進める必要があ
る。

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