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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (312 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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〜150 日の積分値を求め、日数で割ると 1.61 mg/L という数値が得られる。この値を分娩 5 か月後ま
での日本人の母乳中亜鉛濃度の代表値と考え、0~5 か月児の基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じ、授乳
婦の吸収率(53%)82)で除して得られる 2.37 mg/日を丸めた 2.5 mg/日を授乳婦の推定平均必要量の付
加量とした。推奨量の付加量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に 1.2 を乗じ
て得られた 2.84 mg/日を丸めた 3.0 mg/日とした。
3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(0~5 か月児)(目安量)
分娩後 5 か月までの日本人の母乳中の亜鉛濃度の代表値(1.61 mg/日)と基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)
から、0~5 か月児の母乳からの亜鉛摂取量は 1.26 mg/日と計算される。この値を丸め、0~5 か月児の
目安量を 1.5 mg/日とした。
・乳児(6~11 か月児)(目安量)
0〜5 か月児の目安量を体重比の 0.75 乗を用いて 6〜11 か月児に外挿すると、男児 1.62 mg/日、女
児 1.60 mg/日となるが、これらを丸めた 1.5 mg/日は 0〜5 か月児の目安量と同じであり、十分な摂取
量とはいえない。一方、1〜9 歳の亜鉛の推定平均必要量の参照値を、体重比の 0.75 乗と成長因子を
用いて外挿すると、男児 1.95 mg/日、女児 1.73 mg/日が得られる。そして、個人間の変動係数を 20%
と見積もり、推定平均必要量に 1.4 を乗じると、推奨量として 2.72 mg/日と 2.43 mg/日が得られる。6
~11 か月児は母乳(又は乳児用調製乳)と離乳食の両方から栄養を得ていることから、その目安量
は、0〜5 か月児の目安量の外挿値(男児 1.62 mg/日、女児 1.60 mg/日)と、1〜9 歳の亜鉛の推定平均
必要量を外挿して得られる推奨量(男児 2.72 mg/日、女児 2.43 mg/日)の中間値(男児 2.17 mg/日、女
児 2.02 mg/日)を丸め、男女いずれも 2.0 mg/日とした。

3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 摂取状況
平成 30・令和元年国民健康・栄養調査における日本人成人(18 歳以上)の亜鉛摂取量(平均値±標
準偏差)は 9.4 ± 3.5 mg/日(男性)、7.7 ± 2.9 mg/日(女性)である。
3-2-2 耐容上限量の策定方法
・成人・高齢者(耐容上限量)
大量の亜鉛の継続的摂取は、銅の吸収阻害による銅欠乏がもたらす SOD 活性の低下 83)、鉄の吸収
阻害が原因の貧血 84)等を起こす。21 人のアメリカ人男性(19~29 歳)において、亜鉛サプリメント 50
~75 mg/日の 12 週間継続使用により血清 HDL-コレステロールの低下を示している 85)。また、18 人
のアメリカ人女性(25~40 歳)における亜鉛サプリメント 50 mg/日の 10 週間継続使用が、血清フェ
リチン、ヘマトクリット、赤血球 SOD 活性の低下 83)を起こしている。この研究における女性の食事
由来の亜鉛摂取量を 19~50 歳のアメリカ人女性の亜鉛摂取量の平均値(10 mg/日)86)と同じとする
と、総摂取量は 60 mg/日となる。一方、我が国においては、極端な偏食によってアメリカの症例より
も多い約 70 mg/日の亜鉛を長期間継続摂取した体重 42 kg の女性が、銅欠乏性ミエロパチーを生じて
いる 87)。

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