「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (402 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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食欲低下
摂取量↓
サルコペニア
フレイル・サイクル
エネルギー消費量↓
基礎代謝量↓
疲労・
活力↓
活動度↓
身体機能↓
(走行速度↓)
筋力↓
図1 フレイル・サイクル
2 高齢者における基準策定に当たっての留意点
2-1 エネルギー
低栄養と肥満のいずれもがフレイルに関連する 37,67–71)。BMI とフレイルには、BMI 値が低くても高
くてもフレイルの有病率が上昇するというU字の関連がある 4,72)。同様に、サルコペニアについても
栄養不良や低栄養はリスク因子であり 73,74)、また、2 型糖尿病やメタボリックシンドロームではサル
コペニアの有病率が高く 52)、肥満とサルコペニアは双方向に病態を悪化させる 75)。
フレイル予防の観点から目安となる BMI 値には幅があるが、その範囲は、高齢者の目標とする BMI
(21.5~24.9 kg/m2)とおおむね一致している。ただし、65 歳以上の高齢者 10,912 人を約 5.3 年追跡
した日本の研究では、フレイルを有する高齢者と一般の高齢者を比較すると、死亡リスクが最小とな
る BMI 値の範囲は異なり、フレイル群では BMI 値が高くなると死亡リスクが減少する傾向が認めら
れた 76)。したがって、目標とする BMI の範囲は、フレイルの重症化予防に当たって参照するのでは
なく、フレイルも含む複数疾患の発症を総合的に予防する観点から参照するのが適切であろう。
2-2 たんぱく質
2-2-1 たんぱく質摂取と高齢者の健康維持
筋力や身体機能がたんぱく質摂取量と正の相関を示す疫学研究があり 77)、高齢期のたんぱく質の摂
取が重視されている。摂取量が 0.8 g/kg 体重/日未満の場合、筋のサイズ、質、機能の低下と関連した
との報告もある 78)。また、集団における推奨量を摂取した場合であっても、摂取不足に該当する高齢
者が混在し得る 79)。どれ以上摂取するのが望ましいかに関する質の高いエビデンスは存在しないが、
たんぱく質摂取による弊害(主に想定されるのは腎機能への悪影響)がない限り、少なくとも不足を
避けるという考え方が支持されている。欧州臨床栄養・代謝学会(ESPEN)は、健常な高齢者では、
少なくとも 1.0~1.2 g/kg 体重/日のたんぱく質摂取を推奨している 80)。
たんぱく質の目標量は、生活習慣病等の発症予防を目的とした指標であり、この予防すべき病態や
疾患には、フレイルやサルコペニアも含まれる。フレイルとサルコペニアの予防を念頭においた場合、
推奨量よりも多い摂取が望ましいと考えられる。たんぱく質摂取量が多い高齢者(≧1.2 g/kg 体重/日)
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