「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (297 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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上述のように、赤血球等に含まれる鉄の大半は再利用されるが、ごく一部は基本的鉄損失として、
小腸の腸管上皮細胞の剥離等により体外に排出される。また、基本的鉄損失とは別に、月経による損
失及び成長や妊娠・授乳中の需要増大が必要量に及ぼす影響は大きい。鉄の推定平均必要量と推奨量
は、0~5 か月児を除き、出納試験や要因加算法等を用いて算定できる。しかし、吸収率が摂取量に応
じて変動し、低摂取量でも平衡状態が維持されるため、出納試験を用いると必要量を過小評価する危
険性がある。そこで鉄の必要量は、アメリカ・カナダの食事摂取基準 4)に従い要因加算法により算定
した。
一方、満期産で正常な子宮内発育を遂げた新生児は、およそ生後 4 か月までは体内に貯蔵された鉄
を利用して正常な鉄代謝を営む。このことから、0~5 か月児に関しては、母乳からの鉄摂取で十分で
あると考え、母乳中の鉄濃度に基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じて目安量を算定した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
・基本的鉄損失
4 集団 41 人(平均体重 68.6 kg)で測定された基本的鉄損失は、集団間差が小さく、0.9~1.0 mg/日
(平均 0.96 mg/日)である 7)。その後の研究もこの報告を支持している 8)。そこで、この平均値を体重
比の 0.75 乗を用いて外挿し、表1に示した性別及び年齢区分ごとの値を算出した。
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