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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (155 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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1-5 エネルギー産生栄養素バランス
1 基本的事項
エネルギー産生栄養素バランスは、「エネルギーを産生する栄養素(energy-providing nutrients、
macronutrients)、とそれらの構成成分が総エネルギー摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)」と
してこれらの構成比率を示す指標である。エネルギーを産生する物質として、たんぱく質、脂質、炭
水化物、アルコールがある。これらの栄養素バランスは、エネルギーを産生する栄養素及びこれらの
栄養素の構成成分である各種栄養素の摂取不足を回避するとともに、生活習慣病の発症予防とその重
症化予防を目的とするものである。そして実質的には、前者を満たした上で、後者を主な目的とする
ものであるため、その指標は目標量とするのが適当である。
エネルギー産生栄養素バランスの中で、たんぱく質には必要量が存在し、推定平均必要量が算定さ
れている。不足を回避する目的から、推奨量を摂取することが勧められる。脂質は、脂肪酸に細分類
され、n-6 系脂肪酸、n-3 系脂肪酸には目安量が算定されている。また、飽和脂肪酸には目標量が設定
されている。炭水化物は必須栄養素であるが、特殊な条件下を除けば、摂取量が必要量を下回ること
は考えにくい。
以上より、エネルギー産生栄養素バランスを定めるには、初めにたんぱく質の量を定め、次に脂質
の量を定めることが適切であると考えられる。その残余には炭水化物とアルコールが含まれるが、ア
ルコールはエネルギーを産生するものの必須栄養素でなく、摂取を勧める理由はない。そこで、これ
らの栄養素バランスにアルコールを含める場合には、たんぱく質と脂質の残余を炭水化物とアルコー
ルと考えることが最も適当であると考えた。
乳児(1 歳未満)については、母乳におけるこれら栄養素の構成比をもって、好ましいエネルギー
産生栄養素バランスと考えるものとする。そのため、乳児についてはエネルギー産生栄養素バランス
を設定せず、1 歳以上について設定することとした。

2 エネルギー換算係数
たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー換算係数(それぞれの栄養素が単位重量当たりに産生す
るエネルギー量)は、Atwater 係数(たんぱく質、脂質、炭水化物それぞれ、4、9、4 kcal/g)を用い
る。この数値は概数であり 1)、たんぱく質、脂質、炭水化物それぞれについて、その構成成分となっ
ているアミノ酸、脂肪酸、糖などの種類は問わない。本来は食品ごとにわずかに異なるものの、あく
までもまとめた数値であることに留意する。
食物繊維が産生するエネルギー量は 0~2 kcal/g と考えられている 2)。また、日本食品標準成分表
2020 年版(八訂)において、食物繊維のエネルギー換算係数は測定法によらず 2 kcal/g が適用されて
いる 3)。食事摂取基準においては、現状日本人において炭水化物摂取量に占める食物繊維摂取量は 5%
程度(重量比)であるため、活用の利便性や実践可能性の観点を考慮し、炭水化物に食物繊維も含む
こととし、そのエネルギー換算係数には 4 kcal/g を用いることとした。しかし、これは食物繊維を除
いた炭水化物と食物繊維を用いてエネルギー算出する場合において、食物繊維に 2 kcal/g のエネルギ
ー換算係数を使用することを否定するものではない。また、アルコールのエネルギー換算係数は 7
kcal/g とした 3)。

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