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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (268 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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・尿中排泄量及び経皮的損失量
カルシウムの尿中排泄量は、カルシウム出納の平衡が維持されている場合には、体重(kg)0.75×6
mg/日と計算される 77)。この計算式で求められるカルシウム排泄量は、実際の日本人女性の出納試験
時の 24 時間尿中カルシウム排泄量とほぼ等しい 78,79)。また、カルシウムの経皮的損失量は尿中排泄
量の約 1/6 と考えられている 80)。したがって、性別及び年齢区分ごとの参照体重から尿中カルシウム
排泄量を算出し、更に経皮的損失量を算出した。
・見かけの吸収率
カルシウムの見かけの吸収率は摂取量に反比例する 81)。ただし、海外の研究で用いられた摂取量の
多くは、日本人の平均的な摂取量よりも多いため、報告された見かけの吸収率をそのまま日本人に用
いると過小に評価する可能性がある。また、ダブルアイソトープ法により真の吸収率が推定されるが、
この値は見かけの吸収率よりも高く算出される。そこで、出納試験(見かけの吸収率が求められる)
あるいはアイソトープを用いた試験(真の吸収率が求められる)の報告 82–100)を基に、日本人のカル
シウム摂取量の現状を踏まえて、性別及び年齢区分ごとの見かけの吸収率を推定した。
・成人・高齢者・小児(推定平均必要量、推奨量)
体内カルシウム蓄積量、尿中排泄量、経皮的損失量と見かけのカルシウム吸収率を用いて推定平均
必要量を算定した。推奨量は、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係
数 1.2 を乗じた値とした(表3)。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
新生児の身体には約 28~30 g のカルシウムが含まれており、この大半は妊娠後期に母体から供給
され、蓄積される 101)。一方、妊娠中は母体の代謝動態が変化し、腸管からのカルシウム吸収率は著し
く増加する 102)。日本人を対象とした出納試験でも、カルシウム吸収率(平均±標準偏差)は、非妊娠
時 23 ± 8%に対し、妊娠後期には見かけ上、42 ± 19%に上昇していた 90)。その結果、カルシウムは胎
児側へ蓄積され、同時に通常より多く母体に取り込まれたカルシウムは、母親の尿中排泄量を著しく
増加させることになる。そのため、付加量の設定は不要と判断した。なお、アメリカ・カナダの食事
摂取基準、EFSA、北欧諸国の食事摂取基準も、この考え方を採用している 49,58,103)。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳中は、腸管でのカルシウム吸収率が非妊娠時に比べて軽度に増加し 90)、母親の尿中カルシウム
排泄量は減少する 100,104)ことによって、通常よりも多く取り込まれたカルシウムが母乳に供給される。
そのため、付加量は必要がないと判断した。アメリカ・カナダの食事摂取基準、EFSA、北欧諸国の食
事摂取基準も、この考え方を採用している 49,58,103)。
3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
乳児については、母乳から必要なカルシウム量を摂取できるとし、母乳中のカルシウム濃度及び哺
乳量から目安量を算出した。0~5 か月児については、日本人を対象とした報告 10,11)から母乳中のカル
シウム濃度を 250 mg/L とし、基準哺乳量(0.78 L/日)12,13)を乗じると 195 mg/日となり、丸め処理を

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