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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (253 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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1-7 ミネラル
(1) 多量ミネラル
① ナトリウム(Na)
1 基本的事項
1-1 定義と分類
ナトリウム(sodium)は原子番号 11、元素記号 Na のアルカリ金属元素の 1 つである。

1-2 機能
ナトリウムは、細胞外液の主要な陽イオン(Na+)であり、細胞外液量を維持している。浸透圧、
酸・塩基平衡の調節にも重要な役割を果たしている。ナトリウムは、胆汁、膵液、腸液などの材料で
ある。通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足することはない。

1-3 消化、吸収、代謝
摂取されたナトリウムはその大部分が小腸で吸収され、損失は皮膚、便、尿を通して起こる。空腸
では、ナトリウムの吸収は中等度の濃度勾配に逆らい、糖類の存在によって促進される。回腸では、
高度の濃度勾配に逆らって能動輸送されるが、糖類又は重炭酸イオンの存在とは無関係である。便を
通しての損失は少なく、摂取量に依存しない 1)。ナトリウム損失の 90%以上は腎臓経由による尿中排
泄である。ナトリウムは糸球体でろ過された後、尿細管と集合管で再吸収され、最終的には糸球体ろ
過量の約 1%が尿中に排泄される。ナトリウム再吸収の調節は、遠位部ネフロンに作用するアルドス
テロンによる。糸球体でのろ過作用と尿細管での再吸収が体内のナトリウムの平衡を保持しているの
で、ナトリウム摂取量が増加すれば尿中排泄量も増加し、摂取量が減少すれば尿中排泄量も減少する。
したがって、24 時間尿中ナトリウム排泄量からナトリウム摂取量を推定することができる。腎臓外の
ナトリウムの調節の仕組みとして、食塩摂取欲、口渇、血漿レニン活性、血漿アンジオテンシンⅡ、
アルドステロン産生、心房性ナトリウム利用ペプチド、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミ
ンなどのカテコールアミン、血管作動性腸管ポリペプチドなどを挙げることができる 2)。

2 指標設定の基本的な考え方
我が国のナトリウム摂取量は、食塩(塩化ナトリウム)の摂取量に依存し、その摂取レベルは高く、
通常の食生活では不足や欠乏の可能性はほとんどない。ナトリウムを食事摂取基準に含める意味は、
むしろ、過剰摂取による生活習慣病の発症及び重症化を予防することにある。この観点から、後述す
るように食塩相当量として目標量及び重症化予防を目的とした量を設定した。食塩相当量は、次の式
から求められる。
食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×58.5/23=ナトリウム(g)×2.54
(ここで、58.5 は食塩 NaCl のモル質量、23 はナトリウムのモル質量)
ナトリウムは、食塩(塩化ナトリウム)の形以外では、各種のナトリウム化合物の形で様々な食品
に存在している。特に加工食品には食塩の形はもちろん、他の塩の形のナトリウムが含まれている。

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