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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (163 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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とが発展途上国では報告されている 16)。このことから、1~5 歳の小児の場合に 200 µgRAE/日以上と
しなければならない。そこで、男女別に 18~29 歳の成人の推定平均必要量を基にして、それぞれ成
長因子を考慮し、体表面積の比を用いて外挿し、推定平均必要量を算出した 5)。ただし、5 歳以下の
小児では体重当たりの肝重量を 42 g/kg 体重 9,12)として小児期の年齢階級別に推定平均必要量を算出
した。以上により、1~5 歳の体重 1 kg 当たり 1 日のビタミンA体外排泄量(µg/kg 体重/日)は、
体内ビタミンA最小蓄積量(20 µg/g×42 g/kg×10/9)×ビタミンA体外排泄処理率(2/100)
=18.7 µg/kg 体重/日
となる。
したがって、1~5 歳の推定平均必要量は、18.7 µg/kg 体重/日×参照体重×(1+成長因子)の式で
求められる。
推奨量は、小児についても個人間の変動係数を 20%と見積もり 5)、推定平均必要量に推奨量算定係
数 1.4 を乗じた値とした。なお、算定値が前の年齢区分よりも低下する場合には、前年齢区分の数値
と同値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
ビタミンAは胎児の発達にとって必須の因子であるが、体内で合成できず、胎盤を経由して母体か
ら胎児に供給される。したがって、妊婦のビタミンA必要量を考えるためには、胎児へのビタミンA
の移行蓄積量を付加しなればならない。37~40 週の胎児では、肝臓のビタミンA蓄積量は 1,800 µg 程
度であるので、この時期の体内ビタミンA貯蔵量を肝臓蓄積量の 2 倍として、3,600 µg のビタミンA
が妊娠期間中に胎児に蓄積される 17,18)。母親のビタミンAの吸収率を 70%と仮定し、最後の 3 か月で
この量のほとんどが蓄積される 18)。したがって、初期及び中期における付加量を 0(ゼロ)とし、後
期における推定平均必要量の付加量は 55.1 µgRAE/日を丸め処理を行った 60 µgRAE/日とした。後期
における推奨量の付加量は個人間の変動係数を 20%と見積もり 5)、推定平均必要量の付加量に推奨量
算定係数 1.4 を乗じると 77.1 µgRAE/日となるため、丸め処理を行って 80 µgRAE/日とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
母乳中に分泌される量(320 µgRAE/日)を付加することとし 19–21)、丸め処理を行って 300 µgRAE/
日を推定平均必要量の付加量とした。推奨量の付加量は、個人間の変動係数を 20%と見積もり 5)、推
定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.4 を乗じると 449 µgRAE/日となるため、丸め処理を行って
450 µgRAE/日とした。
3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
日本人の母乳中のレチノール濃度は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法
による精密な測定において、分娩後 0~10 日で 1,026 ± 398 µgRAE/L、11~30 日で 418 ± 138 µgRAE/L、
31~90 日で 384 ± 145 µgRAE/L、91~180 日で 359 ± 219 µgRAE/L、181~270 日で 267 ± 117 µgRAE/L
となっている 19)。また、母乳中のβ-カロテン濃度は初乳では高く(分娩後 0~10 日目で 0.35~0.70
µmol/L(188~376 µg/L))、分娩後約 3 か月では 0.062 µmol/L(33 µg/L)まで低下していた 19,20)。
母乳中のビタミンA濃度(初乳を含めた分娩後 6 か月間の母乳の平均値 411 µgRAE/L)20)に基準哺
乳量(0.78 L/日)21,22)を乗じると、母乳栄養児のビタミンA摂取量は 320 µgRAE/日となるため、300

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