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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (278 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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近年リン負荷の指標として注目されているのが FGF23 である 147,159,162–170)。しかしながら、血清
FGF23 濃度の測定方法が試験により異なることや、日本人でのリン摂取量と血清 FGF23 との関係、
さらには血清 FGF23 の健康の保持・増進における意義については、いまだ十分な科学的根拠が得られ
ておらず、FGF23 を指標にした耐容上限量の設定も現時点で困難と考えた。
リン摂取量と骨以外の有害事象との関係も報告されている 171–175)。これらの健康障害発現量を耐容
上限量と考えることも可能であるが、評価指標により健康障害を示すリン摂取量は 1,347~3,600 mg/
日と幅が広い上にデータが十分ではなく、閾値を設定することは困難である。
そこで、血清リン濃度の変動あるいは尿中リン排泄量を指標とした検討を行った。リン摂取量ごと
の血清リン濃度の日内変動を検討した試験では、1,500 mg/日では正常上限を超えることはないが、
3,000 mg/日では食後に正常上限を超えるレベルに達するとされている 176)。日本人男性を対象とした
研究でも 800 mg/食(1 日に換算すると 2,400 mg)では正常上限を超えることはないが、1,200 mg/食
(1 日に換算すると 3,600 mg)では正常上限を超えることが示されている 159)。一方、正味のリン吸収
量の指標と考えられる 1 日尿中リン排泄量に基準となる値は設定されていない。尿中リン排泄量と健
康障害との関係についてのデータは少ないが、腎結石患者と健康な人を比較した研究では、腎結石患
者ではリン摂取量が 2,670 mg/日と、健康な人の 1,790 mg/日に比べて有意に高く、尿中リン排泄量も
腎結石患者で 617.7 mg/日と、健康な人の 358.5 mg/日に比べて有意に高かったことが報告されている
175)。このことから、リン摂取量が増加し、尿中リン排泄量が増加することで腎結石の発症リスクが高

まることが示唆されるが、症例数は少なく、十分な科学的根拠はない。
したがって、従来のリン摂取量と血清リン濃度上昇の関係に基づき、耐容上限量を設定することが
現時点では最も妥当な方法と考えられる。ここで、血清無機リン(mmol/L)、吸収されたリン(mmol/
日)については、次の式で示される関係が提案されている 177)。
血清無機リン=0.00765×吸収されたリン+0.8194×(1-e(-0.2635×吸収されたリン))
これに、リンの吸収率を 60%148)と見込み、血清無機リンの正常上限 4.5 mg/dL146)、リンの原子量(モ
ル質量)30.97 を用いると、血清無機リンが基準値上限となる摂取量が 4,275 mg/日となる。これを健
康障害非発現量と考え、性及び年齢区分によってはカルシウム/リン比の低い食事により骨代謝に影
響がある可能性を考慮して不確定因子を 1.5 とし、2,850 mg/日(丸め処理を行って 3,000 mg/日)を成
人の耐容上限量とした。この値は、前述のリン摂取量と食後の血清リン濃度の関係で示されているよ
うに、リン摂取量が 3,000~3,600 mg/日で血清リン濃度が基準値上限を超えていることと比較しても、
おおむね妥当な値と考えられる。
・小児(耐容上限量)
小児については、十分な研究報告がないため、耐容上限量は設定しなかった。

3-3 生活習慣病の発症予防
3-3-1 主な生活習慣病との関連
・糖尿病
一般に、インスリンが作用するとグルコースとともにリンも細胞内に取り込まれるとされている。
一方で、血清リン濃度やリン摂取量が血糖値やインスリン分泌に及ぼす影響については十分な知見が
得られていない。近年の研究では、ApoE 欠損マウスを用いた検討で、リン摂取量が多いほど動脈硬

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