「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (320 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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3-1 欠乏の回避
3-1-1 目安量の策定方法
・成人・高齢者(目安量)
先に述べたように、マンガンの摂取不足に伴う健康障害の報告が見当たらないことから、現在の日
本人のマンガン摂取に問題はないと判断できる。日本各地に居住する 1〜79 歳の日本人 4,450 名を対
象にして、8 日間の食事記録に基づいてマンガン摂取量を算定した報告が存在する 120)。この報告で
は、18 歳以上の成人の年齢階級別マンガン摂取量の中央値は、男性 3.5〜4.6 mg/日、女性 2.8〜3.9 mg/
日と示されている。これらの中で、最も小さな値である 30〜49 歳の男性と 18〜29 歳の女性のマンガ
ン摂取量の中央値 3.5 mg/日と 2.8 mg/日を丸め、3.5 mg/日(男性)と 3.0 mg/日(女性)を 18 歳以上
の目安量とした。なお、アメリカ・カナダの食事摂取基準は成人男女の目安量をそれぞれ 2.3 mg/日
と 1.8 mg/日 121)、EFSA は 18 歳以上の全ての成人の目安量を 3.0 mg/日としている 122)。
・小児(目安量)
上記の日本人の報告では、1〜17 歳のマンガン摂取量の中央値に関して、男児では 1〜2 歳 1.6 mg/
日、3〜5 歳 1.9 mg/日、6〜7 歳 2.2 mg/日、8〜9 歳 2.7 mg/日、10〜11 歳 2.9 mg/日、12〜14 歳 3.6 mg/
日、15〜17 歳 4.3 mg/日、女児では 1〜2 歳 1.3 mg/日、3〜5 歳 1.8 mg/日、6〜7 歳 2.2 mg/日、8〜9 歳 2.4
mg/日、10〜11 歳 2.8 mg/日、12〜14 歳 3.0 mg/日、15〜17 歳 3.0 mg/日と見積もっている 120)。18 歳未
満のマンガンの目安量はこれらをそれぞれ丸めた値とした。ただし、15〜17 歳の男児の目安量につい
ては、18 歳以上の男性と同じ 3.5 mg/日とした。
・乳児(目安量)
分娩後 1~365 日の日本人女性約 4,000 人を対象とした研究では、母乳中のマンガン濃度の平均値
を 11 µg/L としている 79)。この値は他国で得られている値 121)よりも高いが、他に参照すべき値が見
当たらない。そこで、この値に 0~5 か月児の基準哺乳量(0.78 L/日)5,6)を乗じて得られる 8.6 µg/日
を丸めて、目安量を 0.01 mg/日とした。
6~11 か月児に関して、0~5 か月児の目安量(8.6 µg/日)を体重比の 0.75 乗を用いて外挿し、男女
の値を平均すると 0.011 mg/日となる。一方、成人の目安量の参照値を体重比の 0.75 乗と成長因子を
用いて外挿し、男女の値を平均すると 1.010 mg/日となる。6~11 か月児の目安量はこれら 2 つの値の
平均値(0.511 mg/日)を丸めた 0.5 mg/日とした。
・妊婦(目安量)
日本人妊婦のマンガン摂取量についての研究報告は、全国 15 地域の妊婦 30,373 人に対する食物摂
取頻度調査をまとめた研究のみであり 123)、食事記録法等により集団の摂取量の代表値を求めた研究
は見当たらない。一方、妊娠中の血中マンガン濃度の低値又は高値が出生児体重や出生後の子どもの
神経発達に影響する可能性が示唆されており 124,125)、妊娠中のマンガン摂取が極端にならないように
注意が必要である。妊娠に伴うマンガン摂取に付加量は必要ないと判断し、非妊娠時と同じ目安量を
適用した。
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