「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (11 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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1 策定方針
1-1 対象とする個人及び集団の範囲
食事摂取基準の対象は、健康な個人及び健康な者を中心として構成されている集団とし、生活習慣
病等に関する危険因子を有していたり、また、高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有して
いたりしても、おおむね自立した日常生活を営んでいる者及びこのような者を中心として構成されて
いる集団は含むものとする。具体的には、歩行や家事などの身体活動を行っている者であり、体格
〔body mass index:BMI、体重 (kg)÷身長 (m)2〕が標準より著しく外れていない者とする。なお、フ
レイルについては、現在のところ世界的に統一された概念は存在せず、フレイルを健常状態と要介護
状態の中間的な段階に位置づける考え方と、ハイリスク状態から重度障害状態までをも含める考え方
があるが、食事摂取基準においては、その対象範囲を踏まえ、前者の考え方を採用する 1)。
また、疾患を有していたり、疾患に関する高いリスクを有していたりする個人及び集団に対して治
療を目的とする場合は、食事摂取基準におけるエネルギー及び栄養素の摂取に関する基本的な考え方
を必ず理解した上で、その疾患に関連する治療ガイドライン等の栄養管理指針を用いることになる。
1-2 策定するエネルギー及び栄養素
食事摂取基準は、健康増進法に基づき、厚生労働大臣が定めるものとされている図1に示したエネ
ルギー(熱量)及び栄養素について、その摂取量の基準を策定するものである。
あわせて、国民の健康の保持・増進を図る上で重要な栄養素であり、かつ十分な科学的根拠に基づ
き、望ましい摂取量の基準を策定できるものがあるかについて、諸外国の食事摂取基準も参考に検討
する。なお、これまでアルコールに関する記述は炭水化物の章に含めていたが、化学的にも栄養学的
にもアルコールは炭水化物とは異なり、栄養素でもない。このため、2025 年版では、アルコールはエ
ネルギー源になる物質としてエネルギー産生栄養素バランスの章で触れることとした。その健康影響
や適切な摂取に関する事項等については他のガイドラインを参照されたい。
1
国民がその健康の保持増進を図る上で摂取することが望ましい熱量に関する事項
2 国民がその健康の保持増進を図る上で摂取することが望ましい次に掲げる栄養素
の量に関する事項
イ 国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏が国民の健康の保持増進に影響を与え
ているものとして厚生労働省令で定める栄養素
• たんぱく質
• n-6 系脂肪酸、n-3 系脂肪酸
• 炭水化物、食物繊維
• ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、
ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC
• カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、
セレン、クロム、モリブデン
ロ 国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響
を与えているものとして厚生労働省令で定める栄養素
• 脂質、飽和脂肪酸、コレステロール
• 糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)
• ナトリウム
図1 健康増進法に基づき定める食事摂取基準
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