「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (45 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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推奨量は、個人の場合は不足の確率がほとんどなく、集団の場合は不足が生じていると推定される
対象者がほとんど存在しない摂取量であることから、この値の付近かそれ以上を摂取していれば不足
のリスクはほとんどないものと考えられる。
●目安量
目安量は、十分な科学的根拠が得られないため、推定平均必要量が算定できない場合に設定される
指標であり、目安量以上を摂取していれば、不足しているリスクは非常に低い。したがって、目安量
付近を摂取していれば、個人の場合は不足の確率がほとんどなく、集団の場合は不足が生じていると
推定される対象者はほとんど存在しない。なお、その定義から考えると、目安量は推奨量よりも理論
的に高値を示すと考えられる。一方、摂取量が目安量未満であっても、不足の有無やそのリスクを示
すことはできない。
●耐容上限量
耐容上限量は、この値を超えて摂取した場合、過剰摂取による健康障害が発生するリスクが 0(ゼ
ロ)より大きいことを示す値である。しかしながら、通常の食品を摂取している限り、耐容上限量を
超えて摂取することはほとんどあり得ない。また、耐容上限量の算定は理論的にも実験的にも極めて
難しく、多くは少数の発生事故事例を根拠としている。これは、耐容上限量の科学的根拠の不十分さ
を示すものである。そのため、耐容上限量は「これを超えて摂取してはならない量」というよりもむ
しろ、「できるだけ接近することを回避する量」と理解できる。
また、耐容上限量は、過剰摂取による健康障害に対する指標であり、健康の保持・増進、生活習慣
病等の発症予防を目的として設けられた指標ではない。耐容上限量の活用に当たっては、このことに
十分留意する必要がある。
●目標量
生活習慣病の発症予防を目的として算定された指標である。生活習慣病の原因は多数あり、食事は
その一部である。したがって、目標量だけを厳しく守ることは、生活習慣病の発症予防の観点からは
正しいことではない。
例えば、高血圧の危険因子の 1 つとしてナトリウム(食塩)の過剰摂取があり、主としてその観点
からナトリウム(食塩)の目標量が算定されている。しかし、高血圧が関連する生活習慣としては、
肥満や運動不足等とともに、栄養面ではアルコールの過剰摂取やカリウムの摂取不足も挙げられる 47)。
ナトリウム(食塩)の目標量の扱い方は、これらを十分に考慮し、更に対象者や対象集団の特性も十
分に理解した上で決定する。
また、栄養素の摂取不足や過剰摂取による健康障害に比べると、生活習慣病は非常に長い年月の生
活習慣(食習慣を含む)の結果として発症する。生活習慣病のこのような特性を考えれば、短期間に
強く管理するものではなく、長期間(例えば、生涯)を見据えた管理が重要である。
●指標の特性等を総合的に考慮
食事摂取基準は、エネルギーや各種栄養素の摂取量についての基準を示すものであるが、指標の特
性や示された数値の信頼度、栄養素の特性、対象者や対象集団の健康状態や食事摂取状況などによっ
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