「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (147 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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指標とした介入試験のメタ・アナリシスでも同様であったことから 50,51)、こうした指標の改善が関連
する各種生活習慣病の重症化予防においては、食物繊維の積極的摂取が推奨される。どの程度の食物
繊維摂取量を勧めるかについてはまだ十分な結論は得られていないものの、前述のメタ・アナリシス
では、観察研究も含めて、25~29 g/日の摂取量で最も顕著な効果が観察されたと報告している 26)。こ
れは、現在の日本人成人の食物繊維摂取量に比べるとかなり多く、目標量よりも多い。したがって、
少なくとも目標量を勧めるのが適当であると考えられる。
高食物繊維摂取と便秘改善の関連性を検証した成人を対象とする介入試験のメタ・アナリシスでは、
食物繊維の追加摂取によって排便回数増加、便の粘性の改善を認めたとしているが、それらのアウト
カムの測定に用いられた指標が一定ではなかったことが研究の限界として挙げられている。また、同
報告においては 1 日 10g、少なくとも 4 週間にわたる追加摂取が勧められていること、腸にガスがた
まるといった症状の悪化も報告されていることより、便秘の重症化予防を目的とした食物繊維の追加
摂取は慎重に判断されるべきである 52)。
5 今後の課題
次の 2 つの課題に関する研究を早急に進め、その結果を食事摂取基準に反映させる必要がある。
①
糖類(単糖及び二糖類)に対する目標量の策定を検討するための基盤整備が必要である。日本
食品標準成分表への added sugar 及び free sugar の収載及びそれを用いた日本人における糖類
摂取状況の記述がそれに当たる。さらに、糖類摂取状況と各種健康アウトカムとの関連を見る
日本人を対象とした観察研究、介入研究が必要である。
②
食物繊維摂取量推定における、食物繊維測定法変更の影響を明らかにする必要がある。あるい
は、新規測定法を用いた研究の実施・結果の集積が必要である。
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