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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (73 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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響は事実上無視できる。ただし、標準偏差など、分布の幅に影響を与えるために注意を要する。また、
個人の摂取量についても、長期間の摂取量を調査できれば、偶然誤差の影響は小さくなり、その結果、
習慣的な摂取量を知り得る。しかし、日本人成人を対象とした研究によると、個人の習慣的な摂取量
の ± 5%以内(エネルギー摂取量が 2,000 kcal/日の場合は 1,900~2,100 kcal/日となる)の範囲に観察値
の 95%信頼区間を収めるために必要な調査日数は 52~69 日間と報告されている 62)。これほど長期間
の食事調査は事実上、極めて困難である。
以上の理由により、食事調査によって得られるエネルギー摂取量を真のエネルギー摂取量と考える
のは困難である。そのため、食事調査によって得られるエネルギー摂取量を実務に用いる場合には、
この問題を熟知し、正しく対処することが必要である。

140

食事記録法
食物摂取頻度法

エネルギー摂取量/エネルギー消費量 (%)

120

食事歴法
思い出し法
第三者が観察

100

80

60

40

20

0
16

20

24

28
BMI (kg/m2)

32

36

40

図6 食事調査の申告誤差(過小申告)
健康な者を対象として食事調査によって得られたエネルギー摂取量と二重標識水法によって測定されたエネルギー消費量を評価
した 100 の研究における BMI(kg/m2)とエネルギー摂取量/エネルギー消費量(%)の関連。第三者が摂取量を観察した場合を
除き、ほとんどの研究においてエネルギー摂取量/エネルギー消費量(%)が 100%を下回るとともに、BMI が大きくなるほど、
過小申告の程度が大きくなる傾向にある。

2-2 エネルギー消費量(二重標識水法)
成人(妊婦、授乳婦を除く)で短期間に体重が大きく変動しない場合には、
エネルギー消費量=エネルギー摂取量=エネルギー必要量
が成り立つ。
自由な生活を営みながら一定期間のエネルギー消費量を正確に測定する方法は、現時点では二重標
識水法のみである 2)。二重標識水法は一定量の二重標識水(重酸素と重水素によって構成される水)
を対象者に飲ませ、尿中に排泄される重酸素と重水素の濃度の比の変化量からエネルギー消費量を算
出する方法である。
二重標識水法を用いて 1 歳以上の健康な集団を対象としてエネルギー消費量を測定した世界各国で
行われた 139 の研究結果を用いて、年齢とエネルギー消費量の関連をまとめると図7のようになる
(詳細は参考文献 63 を参照のこと)。各点は各研究で得られた測定値(体重 1 kg 当たりの値(kcal/kg/
日))の平均値(又はそれに相当すると判断された値)である。総じて、男性の値は女性の値よりも

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