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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (205 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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平均的な食事中のナイアシンの遊離型ナイアシンに対する相対生体利用率は、60%程度であると報告
されている 3,4)。

2 指標設定の基本的な考え方
ナイアシン欠乏症のペラグラの発症を予防できる最小摂取量から、推定平均必要量を求めた。ヒト
を用いたナイアシン欠乏試験より、
ニコチンアミド代謝産物である N1-メチルニコチンアミド
(MNA)
の尿中排泄量が 1 mg/日を下回った頃から、ペラグラ症状が顕在化することが報告されている 25)。そ
こで、MNA 排泄量を 1 mg/日に維持できる最小ナイアシン当量摂取量を必要量とした。ナイアシンは
エネルギー代謝と密接に関連することから、推定エネルギー必要量当たりで算定した。

3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要求量を決めるために考慮すべき事項
上述のように、ナイアシンは不可欠アミノ酸のトリプトファンから肝臓で生合成もされる。この転
換比は、おおむね重量比で 60 mg のトリプトファンから 1 mg のニコチンアミドが生成するとされて
いる 26,27)。
3-1-2 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人(推定平均必要量、推奨量)
推定平均必要量はエネルギー当たりの値とした。ナイアシン欠乏試験において、欠乏とならない最
小ナイアシン摂取量は 4.8 mgNE/1,000 kcal であったと報告されている 28,29)。この値を成人(18~64
歳)の推定平均必要量算定の参照値とし、対象年齢区分の推定エネルギー必要量を乗じて推定平均必
要量を算定した。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
65 歳以上の高齢者については、ナイアシン代謝活性は、摂取量と代謝産物の尿中排泄量から推定し
た場合、成人と変わらないというデータがあることから 30,31) 、成人(18~64 歳)と同様に、4.8
mgNE/1,000 kcal を推定平均必要量算定の参照値とし、対象年齢区分の推定エネルギー必要量を乗じ
て推定平均必要量を算定した。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
1歳以上について、ナイアシン代謝活性は、摂取量と代謝産物の尿中排泄量から推定した場合、成
人と変わらないというデータはないが、成人(18~64 歳)と同様に、4.8 mgNE/1,000 kcal を推定平均
必要量算定の参照値とし、対象年齢区分の推定エネルギー必要量を乗じて推定平均必要量を算定した。
推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦の付加量を要因加算法で算定するデータはない。ナイアシン必要量がエネルギー要求量に応じ
て増大するという代謝特性を考慮し、エネルギー付加量に基づいて算定する方法が考えられるが、妊
婦では、トリプトファン-ニコチンアミド転換率が非妊娠時に比べて増大 32)するため、エネルギー要

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