「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (271 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
1 基本的事項
1-1 定義と分類
マグネシウム(magnesium)は原子番号 12、元素記号 Mg の金属元素の 1 つである。マグネシウム
は、骨や歯の形成及び多くの体内の酵素反応やエネルギー産生に寄与している。生体内には約 25 g の
マグネシウムが存在し、その 50~60%は骨に存在する 115)。
1-2 機能
血清中のマグネシウム濃度は、1.8~2.3 mg/dL に維持されており 116)、通常はマグネシウム濃度が低
下すると腎臓からのマグネシウムの再吸収が亢進するとともに、骨からマグネシウムが遊離し利用さ
れる。血清マグネシウム濃度が基準値よりも低下した低マグネシウム血症の症状には、吐き気、嘔吐、
眠気、脱力感、筋肉の痙攣、ふるえ、食欲不振がある。
1-3 消化、吸収、代謝
マグネシウムの腸管からの吸収率は、40~60%程度と推定される 117)。成人で平均摂取量が約 300~
350 mg/日の場合は約 30~50%であり 118)、摂取量が少ないと吸収率は上昇する。4~8 歳のアメリカ人
の小児では、摂取量が約 200 mg/日の場合、マグネシウムの吸収率は約 60~70%であった 119)。
2 指標設定の基本的な考え方
出納試験によって得られた結果を根拠として、推定平均必要量及び推奨量を設定した。乳児につい
ては、母乳中のマグネシウム濃度と哺乳量を基に目安量を設定した。
3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
前述したように、マグネシウム欠乏により、様々な健康障害が出ることが報告されているが、通常
の生活において、マグネシウム欠乏と断定できるような欠乏症がみられることはまれであると考えら
れる。マグネシウムの不足や欠乏を招く摂取量を推定することは難しいため、出納試験によってマグ
ネシウムの平衡を維持できる摂取量から必要量を求めた。
3-1-2 推定平均必要量、推奨量の策定方法
・成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
18~26 歳の日本人の女性を対象とした出納試験(13 試験の合計 131 人)では、マグネシウム出納
の分布は正となり、出納値の中央値が 0(ゼロ)となるように補正した結果、平衡維持量は 4.18 mg/kg
体重/日であった 120)。一方、20~53 歳のアメリカ人を対象とした出納試験 121)では、男性でマグネシ
ウムの摂取量が 323 mg/日、女性で 234 mg/日の場合にマグネシウムの出納は僅かに負のバランスとな
り、この時の体重当たりの摂取量は 4.0 mg/kg 体重/日であったことが報告されている。また、既に報
告された 27 の出納試験のうち、カルシウム、銅、鉄、リン、亜鉛のいずれかが推定平均必要量以下又
261