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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (206 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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求量の増大に伴う必要量の増大をまかなっている。したがって、付加量は設定しなかった。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊娠期に高くなったトリプトファン-ニコチンアミド転換率は、出産後、速やかに非妊娠時の値に
戻る 32)。したがって、授乳婦には泌乳量を補う量の付加が必要である。授乳婦の推定平均必要量の付
加量は、母乳中のナイアシン濃度(2.0 mg/L)7–9)に 0~5 か月児の乳児の基準哺乳量(0.78 L/日)10,11)
を乗じ、相対生体利用率 60%3,4)を考慮して算出すると 2.6 mg/日となり、丸め処理を行って 3 mg/日と
した。推奨量の付加量は、丸める前の推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じると 3.1
mg/日となり、これに丸め処理を行って 3 mg/日とした。
3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
0~5 か月の乳児の目安量は、母乳中のニコチンアミド濃度(2.0 mg/L)7–9)に基準哺乳量(0.78 L/日)
10,11)を乗じると 1.56 mg/日となるため、丸め処理を行って 2 mg/日とした。なお、この時期にはトリプ

トファンからニコチンアミドは供給されないものとし、摂取単位は mg/日とした 33)。
6~11 か月児の目安量は、2 つの方法による外挿値の平均値とした。具体的には、0~5 か月児の目
安量及び 18~29 歳の推奨量それぞれから 6~11 か月児の目安量算定の基準となる値を算出した。次
に、男女ごとに求めた値を平均し、男女同一の値とした後、丸め処理を行って 3 mg/日を男女共通の
目安量とした。なお、外挿はそれぞれ以下の方法で行った。
・0~5 か月児の目安量からの外挿
(0~5 か月児の目安量)×(6~11 か月児の参照体重/0~5 か月児の参照体重)0.75
・18~29 歳の推奨量からの外挿
(18~29 歳の推奨量)×(6~11 か月児の参照体重/18~29 歳の参照体重)0.75
×(1+成長因子)

3-2 過剰摂取の回避
3-2-1 摂取源となる食品
ニコチンアミドは動物性食品に存在するが、多くても 10 mg/100 g 可食部程度である。ニコチン酸
は、植物性食品に存在するが、多くても数 mg/100 g 可食部程度である。通常の食品を摂取している人
で、過剰摂取による健康障害が発現したとの報告は見当たらない。
3-2-2 耐容上限量の策定方法
・成人・高齢者・小児(耐容上限量)
ナイアシンの強化食品やサプリメントには、通常、ニコチン酸又はニコチンアミドが使用されてい
る。ナイアシンの食事摂取基準の表に示した数値は、強化食品由来及びサプリメント由来のニコチン
酸あるいはニコチンアミドの耐容上限量である。
ニコチンアミドは 1 型糖尿病患者への、また、ニコチン酸は脂質異常症患者への治療薬として大量
投与された報告が複数ある。大量投与により、消化器系(消化不良、重篤な下痢、便秘)や肝臓に障
害(肝機能低下、劇症肝炎)が生じた例が報告されている。これらをまとめた論文 34)及び関連する論
文 35–37)から、ニコチンアミドの健康障害非発現量を 25 mg/kg 体重、ニコチン酸の健康障害非発現量
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