「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (96 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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1 基本的事項
1-1 定義と分類
たんぱく質(蛋白質、たん白質、タンパク質、protein)とは、20 種類の L-アミノ酸がペプチド結合
してできた化合物である。たんぱく質は他の栄養素から体内で合成できず、必ず摂取しなければなら
ない。したがって、たんぱく質は必須栄養素である。たんぱく質が欠乏するとクワシオルコル(クワ
シオルコール又はカシオコアとも呼ぶ)となる。
たんぱく質はこれを構成するアミノ酸の数や種類、またペプチド結合の順序によって種類が異なり、
分子量 4,000 前後のものから、数千万から億単位になるウイルスたんぱく質まで多種類が存在する。
ペプチド結合したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドという。たんぱく質を構成するアミノ酸
は 20 種あり、ヒトはそのうち、11 種を他のアミノ酸又は中間代謝物から合成することができる。そ
れ以外の 9 種は食事から直接に摂取しなければならず、それらを不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)と
呼ぶ。不可欠アミノ酸はヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラ
ニン、トレオニン、トリプトファン、バリンである。
1-2 機能
たんぱく質は、生物の重要な構成成分の 1 つである。また、酵素やホルモンとして代謝を調節し、
ヘモグロビン、アルブミン、トランスフェリン、アポリポたんぱく質などは物質輸送に関与し、γ-グ
ロブリンは抗体として生体防御に働いている。たんぱく質を構成しているアミノ酸は、たんぱく質合
成の素材であるだけでなく、神経伝達物質やビタミン、その他の重要な生理活性物質の前駆体ともな
っている。さらに、酸化されるとエネルギーとしても利用される。
1-3 消化、吸収、代謝
体たんぱく質は、常に合成と分解を繰り返しており、動的平衡状態を保っている。たんぱく質の種
類によりその代謝回転速度は異なるが、いずれも分解されてアミノ酸となり、その一部は不可避的に
尿素などとして体外に失われる。したがって、ヒトはたんぱく質を食事から補給する必要がある。ま
た、授乳婦は、母乳に含まれるたんぱく質も考慮して補給する必要がある。
このほかにも、成長期には新生組織の蓄積に必要なたんぱく質を摂取しなければならない。なお、
妊婦の場合における胎児及び胎盤などの成長もこれに相当する。
2 指標設定の基本的な考え方
乳児に目安量を、1 歳以上の全ての年齢区分に推定平均必要量、推奨量及び目標量を定めることと
し、耐容上限量はいずれの年齢区分にも定めないこととした。
たんぱく質の栄養素としての重要性に鑑み、全ての性・年齢区分において、数値の算定に当たって
は四捨五入でなく、切上げを用いた。また、必要に応じて、前後の年齢区分における値を参考にした
数値の平滑化も行った。
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