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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (403 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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は、より少ない高齢者と比較して、虚弱のリスクが少ないとする観察研究が複数あり 81,82)、高齢者に
とって適切と考えられる摂取量は、従来考えられていた値よりも高いとする考えが広がりつつある。
ここに記載された数値は、人種差だけではなく、研究ごとにたんぱく質摂取の測定方法が異なるため、
我が国の高齢者にそのまま当てはまるかの検証が必要だが、これらの数値におおむね合致する範囲で、
たんぱく質の目標量が示されている。
2-2-2 たんぱく質摂取とフレイル
たんぱく質の摂取不足は、フレイル 37,83,84)及び、フレイルの病態と深く関わるサルコペニア 52,85)の
発症及び進展のリスクになると考えられている。フレイルとたんぱく摂取の関連について、日本人の
地域在住高齢者の横断研究では、男性 48 g/日、女性 43.3 g/日以上のたんぱく質摂取は、これよりも少
ない量を摂取している場合に比べて、有意にフレイルのリスクが低いと報告されている 86)。また、別
の日本人の高齢女性 2,108 人を対象にした横断調査では、1 日のたんぱく質摂取量を五分位階級別に
検討すると、たんぱく質摂取が最も低い群(62.9 g/日未満)と比較し、たんぱく質摂取量が多い群ほ
どフレイルと診断される対象者は少なかった。また、多変量解析では、第三階級(69.8~76.1 g/日)以
上の群において、フレイルと判定されるオッズ比が有意に低下していた 84)。日本の研究を含む 4 つの
横断研究と海外の 3 つの縦断研究のシステマティック・レビューでは、たんぱく質摂取量が多いこと
が、フレイルの発症リスク低下と関連すると結論付けている 87)が、一致した見解は得られていない。
2-2-3 たんぱく質摂取と腎機能
たんぱく質摂取の不足は望ましくないが、どの程度まで摂取して良いかについても検討する必要が
ある。例えば、たんぱく質摂取量が約 1.6 g/kg 体重/日を超えても、除脂肪量の更なる増加は認められ
ないとする報告がある 88)。こうした上限量に関連する報告は存在するものの、耐容上限量の設定に必
要な根拠は、現状では十分ではない。
たんぱく質の摂取量に比例して、筋量や筋機能が直線的に増加するわけではないと理解するのが妥
当である。反対に、たんぱく質を長期間多く摂ることの有害性に関する根拠も十分ではないが、腎機
能障害をはじめとして健康リスクにつながる可能性が指摘されていることに留意する。また、高たん
ぱく質食によって、食事全体の内容やバランスが変わることの影響や懸念もある 89)。たんぱく質摂取
の考え方は、「エビデンスに基づく CKD 診療ガイドライン」90)や他項を参照されたい。

2-3 ビタミンD
ビタミンDの不足や欠乏は、加齢で増加する骨粗鬆症の発症リスクの上昇につながる 91)。また、筋
線維の分化と増殖にも関与し、筋力や身体機能の維持に寄与するとされており 92)、ビタミンDの不足
は、筋骨格系の機能維持に負の影響を持つと考えられている 91)。
高齢者を対象とした 3 つの横断研究及び 1 つの縦断研究から、血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度
が 25 ng/mL 未満であると身体機能の低下、筋力の減少、血中副甲状腺ホルモン濃度の増加、転倒及び
骨折のリスクが高いことが報告されている 93–96)。17 の横断研究と 5 つの縦断研究の結果をまとめた
メタ・アナリシスでも、血中 25-ヒドロキシビタミンD濃度に基づくビタミンDの不足状態が、筋力
の低下と関連すると結論付けられた 97)。このほか、複数の横断研究の結果が、血中 25-ヒドロキシビ
タミンD濃度が 20 ng/mL 未満であるとフレイルのリスクが高いことで一致しており 98–101)、7 つの前
向きコホート研究のシステマティック・レビューでも、低ビタミンD状態は、フレイルの発症リスク

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