「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (328 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
耐容上限量は、習慣的なヨウ素摂取に適用されるものである。昆布等の海藻類を用いた献立の摂取
は 3 mg/日を超えるヨウ素の摂取を生じるが、吸収された昆布由来のヨウ素は 2 日以内に尿に完全に
排泄される 138)。したがって、成人の場合、昆布等の海藻類を用いた献立を摂取することに起因する
耐容上限量を超える高ヨウ素摂取は、連日でない限り問題はない。
ただし、胎児期や新生児期はヨウ素に対する感受性が高いと言われている 176)。このため、妊婦と
授乳婦に関しては、胎児のヨウ素高曝露と高濃度母乳の分泌を避けるため、高摂取の頻度を一般成人
よりも少なくする必要がある。
なお、海藻類を食べない日本人集団のヨウ素摂取量が平均で 73 µg/日にすぎないと報告されている
ことから 177)、意図的に海藻類の摂取忌避を継続することは、いずれの年齢層においてもヨウ素不足
につながる。したがって、ヨウ素摂取を適正に保つには、昆布をはじめとする海藻類を食生活の中で
適切に利用することが重要である。
6 今後の課題
他国に比べてヨウ素の摂取量が著しく多い日本人における、ヨウ素の習慣的な摂取量と健康影響と
の関連についてのデータが更に必要である。特に昆布製品の摂取について、適切な範囲を検討するこ
とが必要である。
また、母親のヨウ素摂取量と母乳中ヨウ素濃度の関係式を確立すべきである。加えて、海藻類の摂
取が少ないことで、ヨウ素の摂取が不足状態にある者がどの程度存在するのかを把握することも必要
である。
318