「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (37 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
4-2-3-1 過小申告・過大申告
食事調査法には複数の種類があることが知られているが、その多くが対象者による自己申告に基づ
いて情報を収集するものである。その場合、申告誤差は避けられない。最も重要な申告誤差として、
過小申告・過大申告が知られている。このうち、出現頻度が高いのは過小申告であり、その中でも特
に留意を要するものはエネルギー摂取量の過小申告である。
調査法や対象者によってその程度は異なるものの、エネルギー摂取量については、日本人でも集団
平均値として男性 11%程度、女性 15%程度の過小申告が存在することが報告されている 31)。この研究
では、16 日間の秤量食事記録法によって得られたエネルギー摂取量を、性及び年齢区分から推定した
基礎代謝量と比較している。また、平成 30・令和元年国民健康・栄養調査(案分法による 1 日間食事
記録法)によって得られた平均エネルギー摂取量と推定エネルギー必要量(身体活動レベル「ふつう」)
を年齢区分ごとに比較すると、図7のようになる。対象者個人ごとの推定エネルギー必要量との比較
ではないために解釈には注意を要するものの、幼児期における過大申告と小児期から成人期における
過小申告の可能性が読み取れる。平成 24 年国民健康・栄養調査のデータを用いた研究でも類似の結
果が得られている 32)。
さらに、過小申告・過大申告の程度は肥満度の影響を強く受けることが知られており、エネルギー
についての詳細は、エネルギーの章を参照されたい。栄養素については、例えば、24 時間尿中排泄量
から推定した窒素(たんぱく質摂取量の生体指標)、カリウム、ナトリウムの摂取量を比較基準とし
て申告された摂取量との関係を肥満度(この研究では BMI)別に検討した研究が日本人若年女性で存
在するが、3 種類全ての栄養素において BMI が低い群で過大申告の傾向、BMI が高い群で過小申告の
傾向であった(表 11)31)。日本人の小児や妊婦でも肥満度と自己申告によるエネルギー摂取量の間に
負の相関が観察されている 32,33)。
3,000
3,000
20
推定エネルギー必要量
(身体活動レベル「ふつう」)
15
2,500
2,500
10
エネルギー (kcal/日)
2,000
国民健康・栄養調査で得られた
エネルギー摂取量(平均値)
1,500
2,000
1,500
国民健康・栄養調査で得られた
エネルギー摂取量(平均値)
過小・過大申告 (%)
推定エネルギー必要量
(身体活動レベル「ふつう」)
5
0
20
40
60
80
-5
-10
1,000
年齢 (歳)
0
女性
1,000
-15
-20
500
男性
500
-25
0
0
20
40
60
年齢 (歳)
80
0
-30
0
20
40
60
80
年齢 (歳)
図7 平成 30・令和元年国民健康・栄養調査(案分法による 1 日間食事記録法)によって得られた
平均エネルギー摂取量と推定エネルギー必要量(身体活動レベル「ふつう」)の比較
(左)男性、(中)女性、(右)過小・過大申告率(男・女)
(注)国民健康・栄養調査によって得られた平均エネルギー摂取量及び推定エネルギー必要量については、高齢者では年齢の上
限が示されていない。そのため点線で示した。
27