「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (208 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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1 基本的事項
1-1 定義と分類
ビタミンB6 活性をもつ化合物の総称をビタミンB6 という。遊離型ビタミンB6 にはピリドキシン
(PN)、ピリドキサール(PL)、ピリドキサミン(PM)(図6)があり、これらのリン酸化型とし
てピリドキシン 5-リン酸(PNP)、ピリドキサール 5-リン酸(PLP)、ピリドキサミン 5-リン酸(PMP)
がある。PLP 及び PMP が補酵素として機能する。PNP、PLP、PMP は消化管でそれぞれ PN、PL、PM
にまで消化された後、体内に取り込まれるため、これらの化合物は等モルの活性を示す。日本食品標
準成分表(七訂)1)及び日本食品標準成分表(八訂)2)ではビタミンB6 の含有量はピリドキシン(PN)
相当量として示されている。
CH2OH
HO
H3C
CH2OH
N
ピリドキシン
CHO
HO
H3C
CH2NH2
CH2OH
N
ピリドキサール
HO
H3C
CH2OH
N
ピリドキサミン
図 6 ビタミン B6 の構造式
ピリドキシン(PN、C8H11NO3、分子量=169.2)、ピリドキサール(PL、C8H9NO3、分子量
=167.2)、ピリドキサミン(PM、C8H12N2O2、分子量=168.2)
1-2 機能
ビタミンB6 は、PLP 及び PMP の形態で、アミノ基転移反応、脱炭酸反応、ラセミ化反応などを触
媒する酵素の補酵素として機能し、特にアミノ酸代謝において重要な役割を果たす。ビタミンB6 の
欠乏により、ペラグラ様症候群、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角症、リンパ球減少症が起こり、成人では
うつ状態、錯乱、脳波異常、痙攣発作が起こる。また、PN を大量摂取すると、感覚性ニューロパシー
を発症する。
1-3 消化、吸収、代謝
生細胞中に含まれるビタミンB6 の多くは、リン酸化体である PLP や PMP として酵素たんぱく質
と結合した状態で存在している。食品を調理・加工する過程及び胃酸環境下でほとんどの PLP 及び
PMP は遊離する。遊離した PLP 及び PMP のほとんどは、消化管内の酵素、ホスファターゼによって
加水分解され、PL 及び PM となった後、吸収される。一方、植物の生細胞中には、PN とグルコース
が共有結合したピリドキシン 5β-グルコシド(PNG)が存在する。PNG はそのまま、あるいは消化管
内で一部が加水分解を受け、PN となった後、吸収される。PNG の相対生体利用率は、人においては
50%と見積もられている 47)。消化過程は食品ごとに異なり、同時に摂取する食品の影響も受けると推
測される。アメリカの平均的な食事におけるビタミンB6 の遊離型ビタミンB6 に対する相対生体利用
率は 75%と報告されている 48)。一方、我が国で食されている平均的な食事の場合には、相対生体利用
率は 73%と報告されている 3)。
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