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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (179 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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1-3 消化、吸収、代謝
生体では、食事から摂取されたビタミンKと、腸内細菌が産生するメナキノン類との両方を利用し
ている。しかし、腸内細菌が産生するメナキノン類は、その腸管吸収機構やビタミンK栄養状態への
寄与の程度は不明である 122)。そのため、食事摂取基準では腸内細菌によって産生されるビタミンK
は対象外とし、経口摂取されるビタミンKだけを対象とした。
なお、肝臓以外の組織では、メナキノン- 4 のみ利用が可能なため、メナキノン- 4 に酵素的に変換
してから利用される 123)。

2 指標設定の基本的な考え方
必要量を算定できるだけの研究が十分に存在しないため、健康な集団を対象とした観察研究の結果
に基づいて目安量を設定した。
耐容上限量は、薬剤レベルでの介入でも副作用はほとんどみられないため設定しなかった。

3 健康の保持・増進
3-1 欠乏の回避
3-1-1 必要量を決めるために考慮すべき事項
ビタミンKが欠乏すると、血液凝固が遅延する。特定の組織(肝臓と骨、血管)で分泌される非カ
ルボキシル化ビタミンK依存性たんぱく質の血中濃度が、ビタミンKの生体指標としてしばしば用い
られている 124,125)。しかし、これについてもカルボキシル化に最適なビタミンK摂取量の範囲は不明
であり、食事摂取基準で用いられるほどの知見は十分でない。その他、血中フィロキノン及びメナキ
ノン濃度もあるが 126)、それらについて参照しうる明確な値は設定されていない。以上より、正常な
血液凝固能を維持するのに必要なビタミンK摂取量を基準として適正摂取量を設定するのが妥当と
考え、目安量を設定した。
3-1-2 目安量の策定方法
・成人(目安量)
我が国において、健康な人でビタミンK欠乏に起因する血液凝固遅延が認められるのは稀であり、
現在の通常の食事摂取であれば、ビタミンKはほぼ充足していると考えられる。したがって、国民健
康・栄養調査等で観察されたビタミンK摂取量の中央値を用いるのが適当と考えられる。ところが、
日本人では総ビタミンK摂取量に与える納豆由来のビタミンK摂取量の影響を無視できず、そのため
に、納豆摂取者と納豆非摂取者という 2 つの異なる摂取量分布を有する集団が混在していることにな
る。これは、納豆摂取者と非摂取者の平均ビタミンK摂取量が 336 µg/日と 154 µg/日であったとの報
告からも明らかである 127)。
納豆非摂取者においても、明らかな健康障害は認められていないことから、納豆非摂取者の平均ビ
タミンK摂取量(約 150 µg/日)をもって目安量とした。ただし、この研究は、対象が 20 歳代女性に
限定されており、今後、他の性・年齢区分に対しても同様の調査が必要である。

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