「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (272 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html |
出典情報 | 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》 |
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と、出納が 0(ゼロ)になるマグネシウムの摂取量は、2.36 mg/kg 体重/日であった。これを比較検討
した結果、前回までの策定方法を踏襲し、4.5 mg/kg 体重/日を成人の体重当たりの推定平均必要量と
した。これに、性別及び年齢区分ごとの参照体重を乗じて推定平均必要量とし、推奨量は、個人間の
変動係数を 10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。近年アメリカ
では現時点での体重を考慮して、マグネシウムの必要量を再検討することが提案されている 123)が、
現在の我が国のマグネシウムの食事摂取基準は体重当たりの必要量を算出しているため問題はない
と考えられる。
・小児(推定平均必要量、推奨量)
3~6 歳の日本人の小児を対象にした研究 124)では、通常食摂取下における出納を観察し、得られた
回帰直線から推定平均必要量を 2.6 mg/kg 体重/日と推定している。一方、アメリカ・カナダの食事摂
取基準 116)では、マグネシウム安定同位体を用いて行われた出納試験などを参考に、推定平均必要量
を 5 mg/kg 体重/日と推定している。安定同位体を用いた試験が妥当な値を示していると判断して、後
者の結果 116)を採用し、推定平均必要量を 5 mg/kg 体重/日とした。これに参照体重を乗じて推定平均
必要量とし、推奨量は、成人と同様に、個人間の変動係数を 10%と見積もり、推奨量算定係数 1.2 を
乗じた値とした。
・妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
妊婦に対するマグネシウムの出納試験の結果 125)によると、430 mg/日のマグネシウム摂取でそのほ
とんどが正の出納を示している。妊娠時の除脂肪体重増加量を 6~9 kg(平均 7.5 kg)126)、除脂肪体
重 1 kg 当たりのマグネシウム含有量を 470 mg127)とし、この時期のマグネシウムの見かけの吸収率を
40%と見積もると、1 日当たりのマグネシウム付加量は 31.5 mg となり、丸め処理を行って 30 mg と
なる。これを妊娠期の推定平均必要量の付加量とした。推奨量は、個人間の変動係数を 10%と見積も
り、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数 1.2 を乗じた値とした。
・授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳婦については、母乳中に必要な量のマグネシウムが移行しているにもかかわらず、授乳期と非
授乳期の尿中マグネシウム濃度は同じである 128)ため、授乳婦にマグネシウムを付加する必要はない
と判断した。
3-1-3 目安量の策定方法
・乳児(目安量)
日本人における母乳中のマグネシウム濃度の平均値は、27 mg/L10,11)と報告されている。これに 0~
5 か月児における基準哺乳量(0.78 L/日)12,13)を乗じると 21.1 mg/日となり、丸め処理を行って 20 mg/
日を目安量とした。
6~11 か月児については、母乳中のマグネシウム濃度(27 mg/L)10,11)と 6~11 か月の哺乳量(0.53
L/日)14,15)から計算される母乳由来のマグネシウム摂取量(14 mg/日)と、離乳食由来のマグネシウム
摂取量(46 mg/日)16)を足し合わせ、60 mg/日を目安量とした。
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