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「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 (229 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
出典情報 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(10/11)《厚生労働省》
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⑨ ビタミン C
1 基本的事項
1-1 定義と分類
ビタミンCの化学名は L-アスコルビン酸である(図 12)。ビタミンCは、食品中ではたんぱく質な
どと結合せず、還元型の L-アスコルビン酸(分子量=176.1)又は酸化型の L-デヒドロアスコルビン酸
(分子量=174.1)として遊離の形で存在している。日本食品標準成分表(七訂)1)及び日本食品標準
成分表(八訂)2)では、成分値は両者の合計で示されている。食事摂取基準は、還元型の L-アスコル
ビン酸の重量として設定した。分子量の違いはわずかであるため、食事摂取基準を活用する上で、両
者を区別する必要はほとんどない。

O
HO
O
HO
HO

C

H

CH2OH

図 12 L-アスコルビン酸の構造式(C6H8O6、分子量=176.1)

1-2 機能
ビタミンCには抗酸化作用があり、L-アスコルビン酸はラジカルを捕捉し、自らが酸化されて L-デ
ヒドロアスコルビン酸に変化することにより、ラジカルを消去する。また、ビタミンCは、コラーゲ
ン合成において補因子として水酸化反応に関与する。ビタミンCが欠乏すると、コラーゲン合成が抑
制されるため、血管がもろくなり出血傾向となり、壊血病となる。壊血病の症状は、疲労倦怠、いら
いらする、顔色が悪い、皮下や歯茎からの出血、貧血、筋肉減少、心臓障害、呼吸困難などである。

1-3 消化、吸収、代謝
ビタミンCは、消化管から吸収されて速やかに血中に送られる。消化過程は食品ごとに異なり、同
時に摂取した食品の影響も受ける。ビタミンCは、ビタミンとしては例外的に、食事から摂取したも
のも、いわゆるサプリメントから摂取したものも、その相対生体利用率に差異はなく 4)、吸収率は 200
mg/日程度までは 90%と高く、1 g/日以上になると 50%以下となる 136,137)。酸化型のデヒドロアスコル
ビン酸も、生体内で還元酵素により速やかにアスコルビン酸に変換されるため、生物学的な効力を持
つ 138)。体内のビタミンCレベルは、消化管からの吸収、体内における再利用、腎臓からの未変化体の
排泄により調節されており、血漿濃度は、およそ 400 mg/日で飽和する 136,137)。

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