よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-3-2   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(スパイクバックス筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) (519 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00046.html
出典情報 第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(8/5)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

本例は、「Internal Medicine」に掲載された症例である。

51 歳女性患者が本剤の第 1 回接種の 28 日後、全身疲労感、口渇、多尿、多飲症を発症。第 1
回接種後は、全身症状も局所症状もなしとの報告。本発症 2 日後、第 2 回目の本剤接種を受
け、症状は顕著に増悪、1 日に 1〜2 リットルの砂糖甘味料含む炭酸飲料の摂取を伴った。

3 kg の体重低下を認め、症状発症の 12 日後にかかりつけ医を受診した。本症状の発現まで健
常で高血糖及び糖尿病の既往歴もなし。第 1 回接種の 45 日前に実施した年 1 回の定期健康診
断の結果、糖代謝は正常(空腹時血糖値;90 mg/dL、ヘモグロビン A1c;5.6%)であった。家
族歴に関して、患者の父親に 2 型糖尿病があったが、他の家族の誰にも自己免疫疾患はなか
った。受診 2 日後(すなわち第 1 回接種の 6 週間後)、高血糖(平常血糖値;455 mg/dL)が
かかりつけ医で検出されたため、著者所属病院を紹介受診した。
精神的機
能障害;
受診時、患者の意識は清明、体温が[摂氏] 35.5 度。身長、体重、ボディ・ マス・ インデック
スは、それぞれ 150.3 cm、41.5 kg、18.3 kg/m^2 であった。呼吸数、血圧、酸素飽和度は、
糖尿病性
それぞれ 20/分、155/94 mmHg、室内気下 98%であった。呼吸に明らかなケトン臭はなし。患
ケトアシ
者は結構動態的に安定していたが、頻脈(脈拍数;108 bpm)を伴う抑うつ、皮膚ツルゴール
ドーシ
22550

ス;

2型糖尿


脱水;

頻脈;

1型糖尿


低下が認められ、軽症の脱水症が示唆された。検査よりヘモグロビン A1c 値の上昇を伴う高
血糖、アニオンギャップ上昇(31.8 mEq/L)を伴う代謝性アシドーシス、糖尿病性ケトアシド
ーシスの診断と一致するケトン血症を認めた。

入院後、4.0 リットルの生理食塩水の静注、およびレギュラーインスリンの輸液を投与、イン
スリンは 0.1 unit/kg/h で投与開始、その後の 27 時間で調整した。結果血糖値は徐々に低下
し、代謝性アシドーシスは正常範囲に戻り、ケトーシスは顕著に改善した。入院後 20 時間で
糖尿病性ケトアシドーシスは完全に回復し、皮下インスリン療法へ移行した。さらに検査で
内因性インスリン分泌の消耗、インスリン自己抗体応答陽性、甲状腺ホルモンの正常レベル
の甲状腺に対する自己免疫を認めた。免疫検査では、1 型糖尿病を惹起する可能性のある最近
のウイルス感染(コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、サイト
メガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、Epstein-Barr ウイルス)
のエビデンスは認めず、SARS-CoV-2 のワクチン誘導免疫を示唆した。ヒト白血球抗原クラス
II ゲノタイプは DRB1*09:01-DQB1*03:03 ホモ接合性を示すが、日本人母集団における授与感
受性への 1 型糖尿病として知られている。これら所見を基に、患者は夕食前に急性発症 1 型
糖尿病と診断、インスリングラルギン U-300 (14 単位)の皮下投与、及び退院時にリスプロイ
ンスリンを食事前(朝食、昼食、夕食前に 6 単位、4 単位)により適切な糖コントロールを実施
した。

報告者の協力が得られず、追跡調査不能。

519