よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料1-2-3-2   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(スパイクバックス筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) (535 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00046.html
出典情報 第82回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(8/5)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

本例は、「Clinical Nuclear Medicine,2022」に掲載された症例であり、商品名が特定され
ていないため、自社製品相当として報告するものである。

80 歳男性患者が歩行困難を伴う 7 日続く高熱により、救急救命室を紹介受診した。1 週間前
に SARS-CoV-2 mRNA2 回目ワクチン接種(商品名不明)を受け、ワクチン接種の翌日[摂氏]39
度以上の熱が出た。またワクチン接種 3 日後に出た下肢痛が持続した。入院時の検査値は、
白血球数 17,300 球/µ
L、乳酸脱水素酵素 662 U/L、C 反応性蛋白質 31.9 mg/dL。炎症病巣を
特定するため FDG PET/CT を実施。筋性動脈や分布動脈などの中等動脈などの主要な血管と分
枝血管に沿って、広範囲にわたる線状及び斑状の代謝亢進性病巣が、両脚、臀部、両腕、鎖
骨周辺、胸壁、側頭部にみられた。またワクチン接種後左腋窩リンパ節の腫脹が認められ
た。当初は皮下脂肪織炎を鑑別診断に考えたため、大腿 MRI を実施。動脈壁及び血管周辺結
合組織の高密度信号が、主に四頭筋に認められ、下肢血管炎又は小血管炎があることを示唆
発熱;
22615
血管炎

した。しかし、筋生検で特徴的所見を示すことができなかった。大血管炎(すなわち、高安
動脈炎及び巨細胞性動脈炎[GCA])における FDG PET/CT の有効性が確定された。しかし、本
症例の特徴は高安動脈炎及び GCA のそれとは異なり、大動脈壁とその主要な分枝血管に著明
な貯留や血管壁の肥厚はみられなかった。本症例の所見は、ごく稀な下部血管炎で報告のあ
った「蟻の巣箱」様の外観に類似していた。筋生検は血管炎の診断を判断する確証がなく、
偽陰性の結果も稀ではない。興味深いことに、本症例は側頭部と体幹部とより解剖的に広範
囲の異常を示した。

側頭部動脈で異常な FDG 摂取が認められたが、その箇所は患者が頭痛を訴えた場所であっ
た。したがって、側頭部動脈の超音波検査を実施。動脈壁の肥厚がみられたが、GCA の兆候の
典型的とされる「暗黒暈」より明るかった。引き続き、側頭部動脈の生検を実施。組織学的
検査より好中球とリンパ球浸潤が弾性板の内側及び外側に認められ、そこでは血管壁構造に
著明な破壊が散見された。しかし、巨細胞の形成はみられなかった。これら所見は、GCA では
なく、むしろ説明が不可能な全身性血管炎の急性発症を示唆するものであった。

報告者の協力が得られず、追跡調査不能。

535