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資料1-2-3-1   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(コミナティ筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) (456 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00052.html
出典情報 第85回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第14回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(10/7)《厚生労働省》
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好酸球性心筋炎、完全房室ブロック、心室細動の結果として治療的な
処置はとられた。

臨床経過:

69 歳男性は COVID-19 mRNA ワクチン接種(BNT162b2、1 回目)の 7 日
後、悪寒と末梢冷感を訴え、前医を受診した。患者にこの期間中、感
染症の病歴および新規薬剤投与歴はなかった。既往歴は高血圧および
末梢動脈疾患(PAD)であったが、癌、血液障害や免疫介在疾患はなかっ
た。患者から呼吸困難の報告はなく、PCR 検査で重症急性呼吸器症候群
コロナウイルス 2(SARS-CoV2)RNA が陰性であった。体温は 36.4 度 で
あった。血圧は 120/80mmHg、脈拍は 100 b.p.m であった。心電図(ECG)
にて全誘導で QRS 幅拡大、II, III, aVF および V1〜V4 誘導で ST 部分
上昇を示した。胸部X線で 軽度の肺うっ血を伴う心拡大を認めた。臨
床検査で心筋バイオマーカー(血清トロポニン T、クレアチンキナーゼ
CK、CK MB 等)および炎症バイオマーカー(白血球数、C 反応性蛋白
(CRP)等)の上昇を認めた。血清好酸球数は 746 cells/uL (正常値 30〜
350 cells/uL)に少し増加した。周知の 心筋炎発症性のウイルス(エコ
ーウイルス、コクサッキーウイルス、インフルエンザウイルス等)に対
する血清抗体価は増加しなかったが、SARS-CoV2 に対する抗体価が
0.90u/ml(正常値<0.80u/ml)に少し増加した。核周囲抗好中球細胞質
抗体 (p-ANCA) と細胞質抗好中球細胞質抗体 (c-ANCA)は陰性であっ
た。最近の新規薬剤投与(COVID-19 mRNA ワクチンを除く)はなかった。
血液培養は全て陰性であった。経胸壁心エコーで重度の全心室壁運動
低下を認めたが、左室径は拡大していなかった。心嚢液貯留も見られ
た。冠動脈造影で閉塞性冠動脈疾患は認められなかった。右心カテー
テル検査による侵襲性血行力学検査で右心房圧の上昇 24mmHg、肺動脈
楔入圧 29mmHg、心指数 1.63 L/min/m2 を認めた。上記の所見から心筋
炎が疑われたため、心内膜心筋生検が実施された。心筋組織の組織病
理検査にて心筋細胞壊死および炎症性単核球と脱顆粒を伴う好酸球の
過剰な浸潤を示した。寄生生物や巨細胞は検出されなかった。患者
は、これらの所見に基づき NEM と診断された。集中治療室への入院後
すぐに患者は心原性ショックと難治性心室細動を発現した。すぐに蘇
生し、末梢 VA-ECMO と大動脈内バルーンポンプ(IABP)が開始された
が、心筋収縮性はほとんどなく、大動脈弁は閉じていた。さらに、患
者は完全房室ブロック(AVB)を発現した。患者は、さらなる治療のため
に当院へ転院した。Impella 5.0 pump(アビオメド社、ダンバース、マ
サチューセッツ州(MA))が、右鎮骨下動脈を通して設置された。右室不
全のため、ミルリノン注入と一酸化窒素(NO)吸入も必要とされた。副
腎皮質ステロイドによる免疫抑制療法が同時に開始された。メチルプ

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