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資料1-2-3-1   薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(コミナティ筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過) (173 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208910_00056.html
出典情報 第89回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和4年度第21回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(12/16)《厚生労働省》
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部圧迫感、労作時、安静時、又は臥位での息切れ。

コメント/臨床経過:

患者は報告病院搬入時、収縮期血圧 69mmHg、脈拍数 100bpm のショッ
クバイタルであり、心電図検査で心室内伝導障害を伴う Wide

QRS の

心房細動、心エコー図検査で広範囲に高度壁運動低下を認めた。血液
検査でも肝胆道系逸脱酵素や心筋逸脱酵素の著明な上昇、腎機能低下
を認め、低心拍出量症候群(LOS)に伴う多臓器不全の状態と判断し
た。ノルアドレナリンの持続静注と陽圧換気(NIPPV)での呼吸管理
を開始し、緊急カテーテル検査を施行。冠動脈造影検査では両側冠動
脈に有意狭窄がないが、左室造影では全周性の壁運動低下を認めた。
急性心筋炎を強く疑い心筋生検を施行した。カテコラミン持続静注下
でも心原性ショックが遷延しており、機械的補助循環が必要と判断し
て ImpellaCPを挿入し、冠疾患集中治療室(CCU)での治療を開
始。心筋生検では好酸球や巨細胞などの特異的所見はなく、心筋への
リンパ球浸潤や心筋の線維化、壊死所見を認め、リンパ球性心筋炎に
矛盾しない所見であった。CCU 入室後も経時的に肝臓機能の増悪、乏
尿、乳酸値の上昇を認めた。加えて、血尿と採血上の溶血所見を認め
た。科内でのカンファレンスを行い、最終的に経皮的心肺補助と大動
脈バルーンパンピング(PCPS+IABP)での循環補助を行う方針とし
た。以降は血行動態・呼吸管理は安定していたが、機械的補助循環の
影響で貧血や血小板減少を認め、適宜輸血を行いながら全身管理を継
続した。しかし心機能の改善に乏しく、駆出率(EF)15-25%程度で推
移しており、第 11 日病日には PCPS の回路が寿命となったため回路交
換を行った。第 12 病日よりには心エコー図検査で EF30%以上の心機
能改善を認め、乳酸値の上昇なく循環動態も改善したため、第 13 病
日に、PCPS を外科的に抜去した。その後も血行動態は安定してお
り、IABP も wearing の後に第 15 病日に離脱、第 18 病日には抜管に
成功した。IABP 抜去後に細菌性肺炎、菌血症による敗血症性ショッ
クを認め、抗菌薬とノルアドレナリンでの加療を行った。抗菌薬加療
により炎症所見は緩徐に改善し、第 28 病日に抗菌薬投与を終了し
た。同時期に経口摂取を再開し、順調に食上げを行えており、SwanGanz カテーテルも抜去できたため、第 30 病日に、一般病棟へ転棟し
た。心機能は EF40%程度で著変なく、薬物療法を継続して明らかな心
不全の増悪なく経過した。1か月に渡る ICU 加療に伴い著明なフレイ
ル・サルコペニアの進行を認めたため心臓リハビリテーションの介入
を行い、自宅生活が可能な運動耐容能まで到達したことを確認した。
退院前に心肺運動負荷試験、心筋シンチグラフィ、心筋生検、ホルタ
ー型心電図検査を施行した。心筋生検では線維化は目立たず、急性期
と比較して明らかな炎症細胞浸潤の消退を認めた。また、退院直前の
心エコー図検査では、EF47%で右室壁運動は改善し、MR は Moderate

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